寅さんの味わい

2013-06-26 17:37:33 | 塾あれこれ
少し前NHKで寅さんをやっていました。
11話『寅次郎忘れな草』昭和48年夏

石油ショックの直前ですね。
変動相場制に移行、1ドル265円でスタートしたのが2月
金大中の韓国による拉致が8月
10月、第4次中東戦争

激動でしたね。

私は国立市駅北口の会社独身寮に住んでいました。
北口の売店で情報誌「ぴあ」を買っていましたね。
初めは薄ッペライ雑誌でした。


寅さんは、映画館が似合います。
TVじゃ違うんですよね。
あれだけTV向きのドアップが多い画面なのに。

映画館も小さくてはダメです。
上野かな銀座かな、大きな映画館がありました。
そこで多くの客と一緒に笑ってた。

友達などとは行きませんでした。
大都会でたった一人、の気分に似合う観劇でした。

寅とリリーが初めて出会ったとき、夜行列車の話をし
二人の気が通じます。

一人夜行に乗っているとき、暗闇にぽつんと見える
民家の灯り「あそこには一家団欒があるんだなあ」
旅情の極みですね。

人といる時は明るくしていても深い処で(ひとり)


今、夜行列車からたった一つの灯りを見ることが
あるんですかね。

たとえあっても立派な現代家屋でしょう。
寅・リリーのセンチメンタルは無いに違いありません。

と思うとこの映画は現代の人に深い処では
共感してもらえなくなり始めているのではないか?
根っからの都会人に北海道の酪農が分からないのと同様。

「理解」は出来るでしょう。
でも大きな映画館でじ~んとなって泣いてしまう
あの共感は、通じないのではないでしょうか。


同様に、外国の映画を見て私たちは、理解はしています。
人として一応共感は出来ます。
ただ深い部分で分かっているか・・・なあ?

翻訳された小説を呼んでも同じです。

ならば今の中学生が漱石を味わえるか?

私が江戸時代の戯作を味わいつくせるか、
ましてや万葉集を深く理解できてるか

作品世界にいくぶんか近づくには知識と想像力の
動員が必要です。

とはいえ、これから勉強するのは面倒、
寅さんや小津映画ばかり見ることになるのでしょうか。


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