タイタニックと原発

2012-04-07 19:05:34 | 塾あれこれ
あのタイタニック号には姉妹船が2隻あります。
オリンピック号とブリタニック号。

「不沈」の大型客船で大量に運ぼうというものでした。
当時、移民などでアメリカ航路の需要が高かったからです。

例えばアイルランドのジャガイモ飢饉が19世紀半ばから始まり
20世紀初めにはまだ新大陸への移民が多かった。

あのチャールズ・チャプリンがアメリカへ渡って成功をおさめ
始めるのが1913~14年くらいです。
17年公開の『移民』という映画でも当時の空気が伝わりますね。

そうした社会のありようを受け「最先端」の技術で登場したのが
オリンピック号
すぐ続いてタイタニック号も登場しています。

ひと足早いオリンピック号は最初の航海で船舶事故を引き起こし
同じ事故をタイタニックも出航の際に犯しかけています。

不沈の設計はしたものの実際に動かしてみないと分からないことが
いろいろとあったようですね。
一般の人に向かっては「~までしてある。不沈だ」と言いながら。

今も昔も専門家は危ないことは話したくないのです。

タイタニックが沈むときでもそうです。
「パニックを起こさないように」説明を極力省いています。

どこかの政府も原発事故の際「一般大衆がパニックを起こさない
ように」と配慮したようですが100年たっても変わらないのですね。


しかし、素人は信じるしかありません。
目の前に巨大な船があれば沈まないだろうと思い
複雑高等な科学と立派な設備を見せられれば、まさかソ連の
ような事故が起き、国民へのミスリードがあろうとは思いません。

素人だけではないでしょう。
たぶんタイタニックの船長も安全だと思っていたハズです。
少なくとも「まあ大丈夫」程度までは。

福島第一原発の前所長だってそうじゃないのかなあ。


さて、1912年、タイタニックの悲惨な大事故の後、船主の
ホワイトスターライン社はどうしたか。

(より安全になるように設計を見直し)して姉妹船を造ったのです。

どこかの国のナニヤラとそっくりではありませんか。

会社の宣伝文句は「ここまで対策を付け加えたのですから
もう安心です」

ブリタニック号はタイタニック号が沈んだ2年後、
1914年に就航し1916年、これまたあっけなく沈没したのです。

タイタニックが持ちこたえた時間の三分の一、事故発生から
わずか50分で。

どこが不沈?どんな安全策?

原発で同じことが起こらないことを祈るばかりですね。


ブリタニック号はドイツの魚雷にやられた(機雷説もある)から
タイタニックとは違うなんて説もあります。

しかし大元は一緒なんですね。
不沈ということはありえないのです。

最近明らかになったブリタニック沈没の原因は人的ミス。

やるべきことをしていなかった=窓が開いたままだったり
いくら設計でしっかりしている積りでも現場が抜けていれば
安全などありえません。

国の内外を問わず原発の最前線では下請けの下請け・・が
危険な作業を行っています。
そこで何が起きうるか。
人為的ミスを無くせるか?

つい10年前、東海村で作業員が亡くなる放射能事故がありました。
あのときどれだけ深刻に反省してたのでしょう。
日本全体が、です。

無知な作業員として見、原発現場の深刻さと捉えていなかった。


専門家も人間です。
皆で間違ったりします。
「絶対大丈夫」があっけなく崩れます。
しかも、古来、無数に繰り返されたことなのです。
よって彼らに任せきりは危ない。

タイタニックもフクシマも同じ構造の露出。

もしそこへ官僚主義、金儲け主義、自己保身・・・
人間の悪い面が重なったりするとどうなるでしょう。


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