『折々のことば』4/30

2015-04-30 14:56:31 | 「折々」読んで
4/30は
『忘れねばこそ思ひ出さず候』江戸の芸者

いまもずっと心にある事ゆえ思いだすこともない。

「激痛に飲みこまれることなく、他者からの同情も拒みつつ
 言い切っている。まことに凛としたことばである。」

と、仰ること一理も二理もあります。
筆者の言わんとする流れに乗れば、ね。

ただ、そんなに誉めるほどかい、とも言えます。


英語のrememberという言葉には「覚えている、思いだす」という
両方の意味があります。
その感触からすると「忘れないから思いださない」とは
感心するほどの言葉でもありません。
当たり前のことで、二重に言っているだけ。

もともとは九鬼周造の文章にある、江戸芸者の言葉ということで
芸者も心意気があったということを伝えるだけのものではないか。

芸者さんの名前が残っていないのも分かる気がします。
結構ふつうに使われていたのかもしれません。

場合によれば、客に「俺を思いだせねえのか」と突っ込まれ
その場しのぎに「忘れないから思いださない、っていうでしょ」と
時間を稼いでいた言い回しかもしれません。


センセ、相変わらず強引なお話ですね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿