ほととぎす

2008-05-17 10:55:56 | SONGS
式子内親王の御歌

『ほととぎす そのかみ山の旅枕 ほのかたらひし空ぞわすれぬ』

横書きではたいへん申し訳ないのですが
ブログを縦書きにするすべを知りません。
ソフトを買えばよいのでしょうが。


昔からホトトギスは歌に詠まれます。
名歌も数々あります。

季節感だけでなく、恋愛の強さをイメージさせる
だけでもなく、遠山からのあの声は
時間の遠さも思わせるのでしょう。

上記、式子内親王もそうです。

昔のことゆえ、あわくなりゆく、けれども鮮やかに
あのときのこと、決して忘れない・・・


桜を詠むのが難しいようにホトトギスも難しい。

『ほろ酔ひの耳疑はすほととぎす』

『昔からあの山で啼く時鳥』

上の句は誰の作なんだか、噴飯モノですな。


1980年代初め、ついに会社を辞めることにした私は
広島に舞い戻りました。

母の家は市の郊外、団地の小さな平屋建て。
私のいない間にローンを組んで購入していたのです。
そこへ三十過ぎの息子が転がりこんだ。。

五月丘という団地に峠を越えてゆくには、どんな山奥
にゆくかというほどの細い山道です。
田舎というより山という感じ、猪くんや蛇さんと共同
の団地でしたね。

借りてきたネコ状態も、母が寝て、一人しばしの酒に
酔い、本などを読んでいると落ち着きます。

山すその田から蛙の大合唱も上ってきました。
真っ暗な外に目を移していますと夜なのに鳥の啼き声
がします。

しみじみ田舎に帰ったなあ、と思いました
まだ若かったから都会に未練があったのでしょう。


暫くして鳥の声のCDを買いました。
小中学生に国語に出る鳥の声を聞かせるためです。
安月給で少し躊躇しましたが。

私も勉強になりました。
あれがホトトギスだったのです。

ラジオなどでも聞いており覚えていなければならない
筈でしたが、生徒に文化を説きながら、この程度で
あったワケです。

CDやラジオで聞くのと実際に鳥を聞くのとでは
「しみじみ感」がずいぶん違うものでもあります。


あれからいろいろなことがあり、三十年近くが過ぎ
ました。
住まいも転々とし、結婚もあり、リストラ騒ぎ・・

今の家に来てまたホトトギスが聞こえます。

『ほろ酔ひの耳疑はすほととぎす』

広島に戻った頃を思い出しました。


杜鵑はたぶん今年も戻ってくるでしょう。
昔を思わせる相変わらずの調子、沁み入る声。

『昔からあの山で啼く時鳥』

酔って聞くと少しつらいかなあ。


最後に名歌をもう一つ。藤原良經です。

『うちしめり菖蒲(あやめ)ぞかをる
    ほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮』


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