2016-09-18 16:40:03 | 塾あれこれ
「K?酒癖が悪いね」

付き合いのよいKは誰からもよく誘われていました。
楽しい酒なのですが酔いすぎることもしばしば。

私と同い年でしたかね。
高卒で経理のプロを目指していました。

会社の仕事でもKとはよくぶつかりました。

営業畑と経理畑じゃぶつかりますよね。
広いフロアに聞こえる大声を出して喧嘩しました。

「バカヤロ、営業が取れてこその会社じゃないか」

「そうは言っても経理では無理です」

・・みたいにね。


それが何故か一緒に酒を飲みに行きます。

女の子にモテない同士でしたから
つい安い店で呑むのです。

カウンターが5~6人でいっぱい
中でおばちゃんが鶏を焼いてる
昭和でしたねえ。

会社の話はしません。
もっぱら政治でした。

安サラリーマンが生意気に政治を語ります。
受け売りばかりですが。

「バカヤロ、食糧自給率は上げないと」
「トヨタが言うように金を儲けて輸入で良いじゃん」

「それじゃ収まらねえこともあるんだよ」
「しかたないじゃん、国土が狭いんだから」

「だから大切なんだ、今のままじゃ米国に牛耳られて」

こんな時のKは悪い酒になりません。
女性にモテないことを嘆いても。


女性がいる店は行きませんでした。
私が駄目、
酒代に彼女らの人件費と思うと勿体ないのです。

Kは他の連中とはそんな店にも行ったようです。
(お触り)したり、品のない酒です。

モテないのを胡麻化していたのですね。

そんな空気をまとっていて女性にモテる訳がない。


独身のまま、Kは亡くなりました。
時たま思いだします。

一生って呆気ないものです。