少しばかりの風はあったが、暖かくていい日和だった。
勇んで神社へ。
参詣人が多かった。結婚式もあったようだ。
特に多かったのは、赤ちゃんの宮参りだった。
もの凄く不機嫌に泣いている童女がいた。三歳くらいだろうか。
「やだ!やだ!やだ!・・・・・」
その一言だけを言いながら、親たちの手を逃れ、足早に先へ先へ歩いていた。
赤ちゃんを抱いた若いママ、写真を撮っていた若いパパ。両家の両親もいた。女の子はそこから離れたがっていた。
ママが何を言おうと、おばあちゃんが手を差しのべようと、一切応じる様子は見せない。「やだ!やだ!」と言いながら離れようとしていた。
「ははーん」
すぐに気付いた。女の子は妬いているのだ。
だが、童女にしてみれば、嫉妬ではなかった。今までは自分中心の世界だったのに、今日は見事に、その座を赤ちゃんに奪われたのだ。
許しがたい不条理だった。
周囲の人たちも気付いていた。おばあちゃんが幾度となく手を差しのべたが、一向に効き目はなかった。
女の子は振り返りながら、「やだ!やだ!・・・」と言ってドンドン歩いた。仕方がないから、三脚を担いだ私が、足を速めた。迷子になってはいけないと思ったのだ。まるで不審者のような私だ。
数十メートルほど行った頃、赤ちゃんを誰かに預けたママが、その子を追ってきた。何か声を掛けた。女の子は立ち止まった。ママに抱いてもらった女の子は、泣きながらママにかぶりついた。ママが私にそっと会釈をしてくれた。私の行為を知っていたらしい。
こんなある日のことを、女の子はいつまで覚えているだろうか。こんな許しがたい不条理も、成長とともに忘れて行くに違いない。
このような光景に私は弱い。涙腺が弛んだ。
とある日のとある不条理梅真白 ひよどり 一平
自分より下に兄弟ができると一時しっかりしていても赤ちゃんに戻るとか。甘えたいのにお姉ちゃんだからって
やっぱり年が離れていても甘えさせてあげないとって
私もそうだったのかな
一気に読ませていただきました。
女の子の気持ちも、若いママ、おばあちゃんの気持ちも
良く分かります。
自分にも同じようなことがあったようなこと、思い出しました♪
我が家でも同じようなことがあったのを思い出しました。
大きくなると理性で押さえるのでしょうけど・・。
何処かの国の世襲をめぐる争いも根っこに
あるのは同じ不条理なのかもしれませんね。
う~む、唸っています。
難しいものなのでしょうね。
上の子は、当然「お姉ちゃん」や「お兄ちゃん」になってくれているとおもうでしょうし。
私が「子育て補助」をしていた頃は、果たして?
幼い子には分かりにくいでしょうね。
子どもはもともとそんなことを分かりたくなかったでしょうし。
誰でも通り過ぎる日常なのでしょう。
ひょっとしたら、実権を有している弟の方が危機感を抱いていたかもしれません。
どのような形の決着を見るのか、興味津々です。
私もウンウン唸りながらの日常です。
こんなことをしていたら、時間が勿体ないのかもしれません。