青蔦や長考癖と囲碁を打つ ひよどり 一平
(あおつたやちょうこうぐせといごをうつ)
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私はへぼ碁なのだが、打つ手は早い。相手が石を置くや否や、ちゃっと自分の石を置く。あまり考えない。昼休みに打つ囲碁としては好まれる。
ところが、時も場所もわきまえずに、長考の人がいる。強い人に多い。
いっとき上司だった人に、そんな長考の人がいた。間もなく昼休みの時間切れと言うのに、「ふーん、ふーん」と言いながら、碁石を置かない。
ベルが鳴った時、こちらが敗戦を認めればそれで終わりとなるが、それを認めないとベルが鳴っても考え続ける。
なにしろ相手は上司。やむを得ず敗戦を認めて、終わりとするしかない。
「無くて七癖」なのだが、その上司の「長考癖」には、よくよく悩まされたものだ。
その人も、今は亡い。