学生時代の話。もはやかれこれ60年前のことだ。
学内きってのモテ友人がいた。本人が吹聴しているのだから、事実に違いなかった。
人妻との交際などについて、細大漏らさず聞かされた。羨ましいことおびただしい。
いいことばかりが続かない。女房の浮気が亭主にバレて、オオゴトになりかけた。
「どうしよう、どうしよう……?」
「因果応報さ!上手に刈りとるんだネ」 私はザマーミロ!と思った。
「相手の亭主の立場だったら、オレはオマエを刺すぜ!」 そう言って脅した。
モテ友人はオロオロオロオロ。
「地金のオマエをさらけ出せ。それしかねーな」
「心配するな!地金のオマエを知れば、間違いなく、女は離れてくれるよ」
その女性はモテ友人と別れた。一方、亭主との離婚も成立したそうだ。
そのモテ友人はすでに亡い。
たんぽぽに別れ言葉は似合はない ひよどり 一平