雪だるま倶楽部

日々を離れ
日常から脱却した世界
そんな風景を切り取っています

志賀直哉旧居

2008年06月09日 | 奈良散策
小説家
志賀直哉

彼の旧居が春日大社の南にあります

参道の途中から旧居への道が続いています

     

山の中の散策道みたいな道を
先へと進むことになります

はてこの道でいいのかななんて思ってしまうほどの道ですが

    

やがて民家の生活道路へと至ります





宮城県石巻市生まれの志賀直哉
白樺派として活躍した小説家

代表作は「暗夜行路」

        

資産家の息子で
父は志賀直温
総武鉄道や帝国生命保険の取締役として財界でも知られた人物の息子として
宮城県で生まれている
東京帝国大学を中退した後
学友であった武者小路実篤らと共に、文芸雑誌「白樺」を出版することとなった

        

彼を評価する時
無駄のない文章
と、評される
推敲を重ね、簡潔に書かれた文章は後の文学者に多大な影響を与えたと言われている

    

この旧居
彼が生涯26回も転居しているが
ここでは10年という歳月を過ごしている

    

1929年から1938年まで

彼は此処で代表作となる「暗夜行路」を執筆

        

邸内にあるサロンを見学できます

       

数奇屋造りであるが
洋風のサロンも併設され
モダンな建築となっている

    

        

       

志賀直哉旧居を去る前
「暗夜行路」の一節を思い出しました

...三時、四時になると戸外も静まって来た
雨も小降りになって、地面を突きながら廻る鉄棒の響きが冴えて聞こえた
坂口の目は引込んで、はっきりと二タ皮になっていた
彼は何かしらいらいらしながら肉体からも精神からも来る凋残な気持ちに自身を浸しつくして、かえってだらしなく絶えずしゃべっていた
夜が明け始めた
疲れと酔いで、竜岡も坂口も、もうそこへ寝ころんで、うとうととしていた
豊は縁側へ出て、秋らしい静かな雨の中を帰っていく人々をぼんやり眺めていた
騒ぎに着崩れた彼女の着物は、裾拡がりの不様な格好になっていた
瓦斯の光が段々に間が抜けて来た
食残された食物の器とか、袋なしに転がっている巻煙草とか、トランプとか、碁石とか、それらの散らかっている座敷の様子が、いかにも何か一段落ついたという感じを与えた...

   
コメント (4)
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