JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

至福の鑑賞会

2008年07月13日 | m-o

今日は早々に趣味部屋の掃除を済ませ、珈琲をたて、久しぶりにパイプなんぞを吹かしながら、♪ パーラッパ、パーラッパ・・・・・♪ 珍しくもマイルスの「死刑台のエレベーター」をBGMに、高橋正男著『物語 イスラエルの歴史』なんていうわけの分からない本を読み始めました。(ときおりこういった全く趣味趣向とはかけ離れた本を読んでみるのも面白かったりするんです。)
最近は晴れれば暑くてどうしようもない我が趣味部屋も、今日は不思議と爽やかな東北東の風が通り過ぎ、ちょっとした避暑地気分です。

「○○(私)、電話~~~!」
今どき、固定電話に私宛の電話が入るなんて、おおかた何処から仕入れたか分からない個人情報を基に、じつに美味しい投資話でも囁く、あの手の電話かと出てみれば、昨年10月に10年ぶりで再会したブルース狂K君からの電話でした。
「あれ?携帯の電話番号教えたはずだけどなぁ・・・」(まっ、そんなことはどうでもいいことなんですが)
「バブ、また古いレコード引っ張り出したんだけど、ビールでも飲みながらいっしょに聴かない?」とのありがたいお誘い、もちろん即お受けいたしました。

ということで、午後からは昼間っからビール飲みつつのレコード鑑賞会です。ある意味『至福の一時』でありますよね。
ただし出てくるレコード出てくるレコード、まあ、相変わらずのブルース、ブルース、ブルース。
もちろん、私が持っていないレコードばかりですし、嫌いじゃないから良いっちゃ良いんですけどね。
「ねぇ、たまにジャズなんてぇのも・・・・・・」
もちろん、ジャズのレコードもそこそこ持っているK君、
「いいよ、聴きたいのかければ」
「どれにしようかなぁ・・・・・おっと!」
驚きました。ハービー・マンとビル・エバンス・トリオの共演盤「NIRVANA」モノラル盤があるではないですか。

いえね、この「NIRVANA」のステレオ盤は私も所有しているのですが、
「モノ盤は、ノイズも少なくて良い音だよ」
てな話を以前聞いたことがありまして、一度聴いてみたいとは思っていたのですけど、今までその機会に巡り会えなかったアルバムなのであります。
「よし、これ、絶対にこれ!」

「どうだ?やっぱモノ盤の方が良い音してる?」とK君。
ところが、このアルバムは私もしばらく聴いてなかったアルバムでありまして
「うん、たぶん・・・・・・」
しょうもないですねぇ、所詮、私の記憶やジャズに対する愛情などこの程度のものなんですよ。(ガッカリ)
「よし!ならお前んとこ行って、聴き比べすんべぇ」
「なら、うちに晩飯でも食いに来る?」
話はまとまりました。早々に自宅へ電話を入れ、レコード一枚片手に、途中で買い出しも済ませ、我が家へと戻ってきました。

そこで、まずは『料理当番、本日の一品』であります。

ともかく、レコードを聴く時間が惜しかったので、簡単にできる「トマト・リゾット風、簡単おじや」です。
ニンニク、トマトをオリーブオイルで炒めて、水、固形コンソメ、ホールトマトを潰したものを突っ込んで一煮立ち、塩胡椒で味を調えて、こんどは適量のご飯をぶっ込み一煮立ち、枝豆とアスパラを混ぜ込んで粉チーズをかければ出来上がりです。
付け合わせは、素揚げした茄子と鶏肉のフリッター、それにスクランブル・エッグを少々添えました。
写真はK君用、ちょっと盛りすぎですが、大食漢の彼にはちょうど良かったようですよ。

夕食を挟んで、聴き比べも含め数枚のレコードを聴いたK君、
「また、鑑賞会やろうぜ」
と言い残し、先ほど帰って行きました。

さて、今日の一枚は、もちろんそのハービー・マンとビル・エバンス・トリオの共演盤を、聴き比べの感想とともに紹介します。

このアルバムはハービー・マン名義になっていますが、内容的にはビル・エバンス・トリオにマンがゲスト出演した、といった様相。
ただ、当時のネーム・バリュームを考えるとエバンズが全面に立つことは難しかったのでしょう。げんに、1961年の暮れに第一回目の録音が終わっていたにもかかわらず、約半年もほったらかしされた後、二回目の録音が行われています。
これは、「途中、マンの「COMIN' HOME BABY」がヒットしたから、新しいアルバムは必要なかったから」てな説もありますが、どうでしょうか?
そもそも、マンとエバンスの組み合わせそのものが、ちょっと不思議っちゃ不思議な気がしますし、最初からヒットさせようという意志はあまり感じないようにも思いますよね。

いずれにしても「COMIN' HOME BABY」が収録されている「VILLAGE GATE」のマンのイメージとはチト違う印象をこのアルバムの演奏からは受けます。それはまぎれもなくエバンス・トリオが演奏の主導権を握っているからでしょう。

全体を通して、若干暗めではありますが、同じフルート、ジェレミー・スタイグとエバンスの共演「WHAT'S NEW」とはまた違った魅力を、私はこのアルバムに感じます。

え~~、ステレオ盤とモノ盤の聴き比べですが、我が安物オーディオで聴き比べても、あきらかに違いがありました。私のイカレタ耳ばかりでなく、K君もそう感じたと言っていましたので間違いないでしょう。(笑)
特にマンを聴きたいと思われたら、モノ盤をだんぜんお勧めします。
「I LOVE YOU」なんて、私が耳元で囁いたのと、玉木宏が耳元で囁いた位の違いがあるかもしれませんよ。(どういう例えじゃ)

NIRVANA / HERBIE MANN
1961年12月8日, 1962年5月4日録音
HERBIE MANN(fl) BILL EVANS(p) CHUCK ISRAELS(b) PAUL MOTIAN(ds)

1.NIRVANA
2.GYMNOPEDIE
3.I LOVE YOU
4.WILLOW WEEP FOR ME
5.LOVER MAN
6.CASHMERE