JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

疑心に満ちた社会はヤダね

2008年07月07日 | p-r

  君が舟今漕ぎ来らし天の川霧立ちわたるこの川の瀬に

七夕の今日はどんよりとした曇り空。今年このあたりでは牽牛と織姫の再会は難しそうでありますが、幸いにも旧暦(厳密には違いますけど)で祝うのがこのあたりの通例、来月の七日が晴れることを期待しましょう。

そんな七夕に我が家に届いたのは、昨年もいただいた『鰻の蒲焼きセット』です。
昨年は大喜びしたこの贈り物も、今年いただくと何とも複雑な気持ちになるのは、じつに失礼なおはなしで
「これ、中国産鰻かなぁ?」
「あれ?たしか詳しくは書いてなかったけど『国産』っては書いてあったよ」
私などは、べつに美味しく食べられれば何処産であろうとかまいやしないんですけどね。
「三越の贈答だし、この時期に贈ってくるって事は逆に安心なんじゃね」

ちょっと前に「三菱自動車のリコール隠しの問題から、同社の売り上げが落ちた」なんてことありましたよね。あの時も言ったんですが
「バカだねぇ、三菱の自動車買うんだったら、絶対今だと思うよ。安いし、細心の注意はしてくれるし、保証も充実してるだろうし・・・」
いわゆる逆の発想ってヤツですか。

「だけどさ、今の世の中、裏の裏の裏まで読んで、儲けることばっか考えて商売する悪いヤツがいっぱいいるでしょ、まして鰻は今や『国産』って表示が一番疑わしいんだよ」

あははは、まさに「それを言っちゃあ、お終めぇよ」であります。でも、「全てを疑ってかかれ」そんな世の中になったことも事実ですよね。あ~いやだいやだ。

先日、『グッド・シェパート』という映画をDVDで鑑賞しました。3時間という長い映画だったので何日かに分けて見てしまいましたけど(笑)
いやね、私、けっこうマッド・デイモンって役者が好きなんですよねぇ、もちろんロバート・デニーロもいいし、アンジェリーナ・ジョリーの唇には・・・・って、それはどうでもいいんですが
ある意味ホラー映画より怖い映画でした。

ここでの『グッド・シェパード』とは、新約聖書『ヨハネ福音書』でキリスト自身が語る「わたしは『善き羊飼い』である・・・・わたしは羊のために命を捨てる。」から来ているといいますが、この主人公が『善き羊飼い』であろうとしたものは何だったのか?身を捧げたものは何だったのか?
ともかくまわりに信ずる者など誰もいない世界を自ら作り上げていく、それは何のため?誰のため?
ふつう「誰も信じちゃいけない、時には家族までも」みたいにまわりの全てを疑って生きていたら、というかそんなんで人間は生きていけませんよねぇ?
ところが生きてましたねぇ、この主人公。
CIAの誕生がどうだとか、スパイがどうだとかというより
全てを疑ってかからなければいけなくなっている現代を思うと、さらに怖さが増す映画でしたし、
正義とは誰が決めるのか?正義とは何か?国家が正義ならそれに逆らう者は全て不正義者か?国家が正義なら何故国と国が争うのか?
いろんな事を考えさせられる映画だったように思います。

まわり全てが、あの主人公みたいな人間だらけになったら、あたしゃ生きていけませんねぇ、というか生きたくありませんね。

あれ?何の話でしたっけ?
まったく、いつもこれですよ私の話は・・・・・・
つまり、食品偽装事件が起きようと、通り魔事件が起きようと、国に裏切られようと、一部の馬鹿な公僕気取りに支配されようと、私は人を信じて生きていきたい、信じられる人は必ずいると思いたい、牽牛のように、織姫のように、一年に一度の出会いを信じ、相手を信じ、そうやって生きていきたいんだと、まっそういう話です。(笑)

さて、今日の一枚は、アート・ペッパーです。
いかに再会とはいえ、男同士のキスはいかがなものかと思いますが、コルトレーンに陶酔していたペッパーにとって、この再会は何を意味したのでしょう?

やっぱり当時は「ペッパーはコルトレーンかぶれして欲しくない」と思っていた日本人が多かったんでしょうかねぇ?少なくともこのアルバムをプロデュースした日本人は、そう思っていたに違いありません。
そしてもう一人、ローリー夫人もそう思っていたのかも
「このアルバムはアートのカムバック後のベスト・アルバムになるわよ」
と言ったらしいですから。
いずれにしろ、復帰後始めて「前期のペッパーが好き」という人に温かく迎えられた一枚だったと思います。当時私も誰かに「ほら、これがペッパーだよ」と聴かされた覚えがありますから。

ともかく、その後こういったフォーマットでの演奏は二度と行われなかったことからしても、ユニークなアルバムであることは確かです。
アルバムはユニークでも、中身はいたってシンプル、というか安心のペッパーを楽しめますよ。

まぁ、前期がどうの、後期がどうのなんてぇのはどうでもいいはなしで、獄中生活で容姿も、ジャズへ対する考え方も多いに変化したペッパーではありましたが、旧友と再会してセッションを行えば、以前からのペッパー・ファンをもうなずかせるプレーができた「腕はなんも衰えてねぇよ」てな感じでしょうかね。

AMONG FRIENDS / ART PEPPER
1978年9月2日録音
ART PEPPER(as) RUSS FREEMAN(p) BOB MAGNUSSEN(b) FRANK BUTLER(ds)

1.AMONG FRIENDS
2.ROUND ABOUT MIDNIGHT
3.I'M GETTING SENTIMENTAL
4.BLUE BOSSA
5.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE
6.WHAT'S NEW
7.BESAME MUCHO
8.I'LL REMEMBER APRIL