JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

癒し系バブ?

2008年07月02日 | v-x

このあたりでは「ほんとに梅雨?」といった日が、ここ3日ほど続いています。今日など長袖のシャツを着て出掛けたことをどれほど後悔したことか、いやはや、昔、やつれていた頃には(嘘です、今より健康的でスリムだった頃という意味)、「上着の袖が汗でべたつくから」と真夏でも長袖シャツで通していたのが嘘のようです。

「バブちゃん、あたし血吐いちゃってさぁ、こんだけ吐けば普通死ぬよ、なんて医者に言われちゃったぁ」
と、なんともそら恐ろしい電話を先日かけてきたのは、以前良く行っていたバーのママです。

ママの店が突然休み始めたのは、もう2年近く前になるでしょうか?
それまでは、ママが私の以前通いつめていたバーのマスター(こちらも身体を壊して店を閉めてしまいましたが)の知り合いということもあって、今行きつけのバーと半々とまではいかなくても、よく顔を出していたお店だったんです。

料理上手で飛び抜けた美人とはいいませんし(失礼)ガリガリのやせっぽちで、酒好き話し好きのママでありましたが、難を一つ言うと、ともかく自分を大切にしないというか、人がよいというか、ほぼ毎日休み無しに、朝の4時5時まで客に言われるまま店を開けているような状態で、余計なお世話ですけど何度となく忠告したことがあったんです。

「ママ、うるさいかもしれないけど、こんな営業してたら、いつか身体壊すよ。週に何回か延びちゃったってんならまだしも、毎日でしょうよ。営業時間はある程度守って、週に1回でいいから休みの日を決めて・・・」
「分かってはいるんだけどねぇ・・・・・」

案の定、まずは体調を壊し、長期休店。
「バブちゃん、店再開するから」と連絡が入ったのは、昨年の夏?秋?その頃かな?ともかく、ならばと行ってみればまた閉まっているありさま。
携帯に電話をしても通じず、「こりゃまた入院したな」と思っていたら、先日の電話でしょ。

「まったくもう、どうしちゃったのよ。」
「まだ、生きてた」

内臓近くの大きな血管が破れ吐血、いよいよダメだと思い救急搬送された先で、「よく生きてたねぇ」と医者に言わしめたという
「どっしようもねぇなぁ、生きてたからいいようなもんの」
「ごめんね」
「ごめんねって、俺に謝られても困んけど」

血管に関しては、内視鏡の手術ですでに完治、ただ、以前からひどかった貧血がさらに悪化しているようで、今は週に一回の通院を続けているそうです。
「まさか、すぐにお店を再開するつもりじゃないだろうね」
「うん、まだちょっと無理だと思う。でも、あたしにはお店しかないからさぁ、夏過ぎぐらいには再開したいと思ってんだけど・・・」
「気持ちは分かるけど、無理しなさんなよ。徐々に始めてきゃいいんだから」
「分かってる、また電話すんね」

さても、前振りがとてつもなく長くなってしまいました。
今日の昼時にその話を喫茶店のマスターにすると、
「まだ、店再開するわけじゃないんだろ・・・じゃ何でバブさんのとこに電話してきたんだろうね?」
「えっ?単なる近況報告でしょ」
するとママが
「バカねぇ、バブさんが優しいからよ」(嘘でも嬉しいよママ)
「はぁ??????」
「だから、大きな病気したりすると、気持ちが落ち込むでしょうよ。ママ、淋しいんだと思うよ。そんな時、あの優しいバブさんだったら、話を聞いてくれるかも、みたいに思ったんじゃないの?」
「おぅ!なんだよ、もてる男は辛いねぇ」とはマスター
「まったく、チャチ入れて、そうじゃなくて、お店やってる頃から心配してくれたバブさんの心が嬉しかったんだと思うよ。今度はバブさんの方から電話でもして励ましてあげれば」
「んっ、つまりそれは、『恋人系バブ』じゃなくて『癒し系バブ』をママは欲しているということだな、そりぁ、見舞いがてら遊びに行ってやんなくちゃいけないな」
って、おいおいマスター、それが結論かい!?

はて?みなさんはどう思われるでしょうか?
「そりゃね、あたしゃ『心優しきバブちゃん』でありますから、一肌も二肌も脱ぐことはやぶさかじゃござんせんよぉ」
「なぁ~にが心優しきよ。もしママがそう思ってるとしたら、客商売止めたほうがいいかもね、だって、人を見る目全くないもん」
って、うるせぇ!

さて、今日の一枚は、アンソニー・ウィリアムス????(いやいやトニー・ウィリアムスのことですよ)です。

「バブさんは、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスってとこは、嫌いなんだね」
と、とあるかたに言われまして、
これは、先日の「MILES SMILE」の紹介で、「はなからハンコック、ロン・カーター、トニー・ウイリアムを嫌っているだけなのか?」なんて書いちゃったからでしょうね。

でも、考えてもみてください、V.S.O.P.のコンサートを聴きに行ったこともさることながら、トニー・ウイリアムスに関しては「'OUT TO LANCH」という、私の大好きなアルバムに参加している時点から、心底嫌いになるわけがありますか?
ハンコックだって、ショーターだって、ごく一部が嫌いなだけで、アルバムだって相当数持ってるんだから(プンプン....笑)

話を今日のアルバムに戻しましょう。
ウイリアムスは、17才という若さで、なんとボストンの『コノリー・クラブ』のハウス・ドラマーだったってんですからビックリ。その『神童トニー』を、ニューヨークに連れ出したのはジャッキー・マクリーンで、(マクリーンのところにはほんのチョットしかいませんでしたけどね)翌年1963年にはマイルスに見初められるという「なんじゃそりゃ?」という経歴の持ち主でありますよね。

あのドルフィーとの美しいとまで思える共演は、1964年の2月、それから半年後の8月には初リーダー盤「LIFE TIME」を同じブルーノートに吹き込みます。
そして今日のアルバムが、ブルーノートに残したもう一枚のリーダー盤ということになります。

「'OUT TO LANCH」を含めた3枚のブルーノート盤を聴くと、「'OUT TO LANCH」のイメージがづっと残っているように私には思えます。
つまり、私にとってもじつに興味そそるドラミングだということ、ただし、「LIFE TIME」のときより、今日のアルバムはよりマイルス・バンドの感触が強くなっていることは間違いないんですけどね。
以降トニー・ウィリアムスに関しては、私には「これジャズドラムかぁ?」的な演奏は間々あれど、『神童』と言わしめた才能が輝き続けた事実は否定できません。

SPRING / ANTHONY(TONY) WILLIAMS
1965年8月12日録音
ANTHONY WILLIAMS(ds) WAYNE SHORTER, SAM RIVERS(ts) HERBIE HANCOCK(p) GARY PEACOCK(b)

1.EXTRAS
2.ECHO
3.FROM BEFORE
4.LOVE SONG
5.TEE