JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

アナログ人間の余裕

2008年05月21日 | v-x

今日のこの晴天も『台風一過』と言って良いものかどうか?ともかく嵐が去って気持ちよい青空が拡がりました。
中国やミャンマーの災害報道を聞くにつけ、天災の恐ろしさと天災には常に人災がセットされてくるのだという教訓、なにより追い詰められた人間の本性の怖さを感じずにはいられません。

昨日は丸一日、なんと一度もPC画面を見ずに過ごしました。よく考えてみれば、これってじつに久しぶりのことです。
昨今、子供たちの携帯電話使用に関して、そこら中でケンケンガクガクなさっているようですが、子供たちだけでなく
「えっ?15分間内に返事をしないと仲間はずれ? えっえっ?夜中でもなんでも?」
と驚いている大人の私が、携帯メールは別としても、PCにはかなり依存している感はゆがめないように思います。

「バブ、これからK君のところにいっしょに行ってくんねぇかなぁ」
との連絡で出かけたのは、一昨日、ログ更新を終えたばかりの時間でした。
理由は「PCメールの受信がどうもうまくいかないから診て欲しい」というものでしたが

「別にメールが出来なくても不便は無いんだけどさぁ」とはK君
「えっ?だってちょっとした業者だって、資料をメールで送ってくるとか、メールで送ってくれとかいうのあんだろうが」とは、私を連れ出したS君
「俺なんか、メールで送れって言われたときは、『封書で送んから、一日待ってろ!』って言ってやんもん、だって一日ぐらい待ったって仕事に支障ないものがほとんどだよ」

あれほどメールが苦手だったS君も、最近はメールの便利さに気付き、資料のやり取りはほとんどメールでやるようになったそうで、
「だって、メールのほうが早いし、安いし・・・・便利ジャン」
「いやいや、へんに早くて便利なんていうものを使い始めるとね。例えば、見積もりにあと一日かかりそうだなんて時があんじゃん。そういう時に相手には『今晩中には出来ますので、明日中には郵送します。』って答えてだよ。じつは発送が翌々日の朝になっちゃっても、それはそれで許されるだろ、そういう余裕ある回答がメールじゃ出来なくなっちゃうんだなぁ、これが」

いやぁ、私には一理も二理もある意見のように思えました。
便利とは、どんどん時間を短縮させ凝縮することでもあるわけで、逆に多くの処理を短時間で出来ることが、やらなければいけないことをやたら増やしたりして、自分で自分の首を絞めていく実態が、少しずつ弊害を生み出しているのもたしかですものね。

「あれ、このボタンってなんのボタンだっけ?」
もう2年以上使い続けている携帯電話に、未だかつて押したことのないボタンがあることに気づいたのはほんの一週間ほど前でした。(いかにマニュアルを見ていないかということ...笑)
こういう時には「勇気を持って押す」私はそういう性格でありまして
「ほれ、プチッとな」
ピッ!

なんと、ヘルプ画面、つまり簡単な取説が出てきたではありませんか。
誰ですか、そこで笑っている人は。ヘルプ画面が携帯にあることなんざぁ、みなさんはとうにご存じなのでしょうけど、あたしゃ知らなかったんですよ~~だ。

これに象徴されるように、私は携帯の機能をほとんど利用しきれていません。これはPCもしかりで、きっと今の何倍、いや何十倍も活用する幅が残されているんでしょうね。
・・・・・・・でも、残りの活用法をあまり知らなくてもいいかなぁ、なんて思うんです。
人間の脳や能力もかなりの部分で使わずに一生を終えるというじゃないですか、特に私なんか他の人にも増して使っていそうもないというに、PCの能力をこれ以上引き出したところで、私自身がついて行く余裕がないでしょう。
所詮はアナログな人間なんですから

K君のように、せめて一日くらい余裕を持った約束が出来る、そのほうが精神衛生的にもよろしいと思いませんか?
結局、三人で飲みに行ってしまった一昨日、そんなことを思ったバブ君でありましたとさ。(笑)

さて、今日の一枚は、ボーカルものサラ・ヴォーンです。
というのも、昨晩、WOWOWの「JAZZ FILE」で、取り上げられていたのがサラだったわけで、1958年のオランダとスウェーデンでの、そして1964年スウェーデンでの歌声が放映されていました。

1964年のものは、カーク・スチュアートのピアノ・トリオ(そういえば彼はビリー・ホリデーの伴奏ピアニストもやってましたよね。)1958年は、今日のアルバムと同じロンネル・ブライトのピアノ・トリオがバックを勤め(ドラムスだけはメンバーが違いますが)、ともに少人数の伴奏を好む私にはうってつけの演奏でありました。
ロンネル・ブライトというとケニー・バレルとのドラムレス・トリオ「BRIGHT'S SPOT」なんて、なかなかのアルバムですよね。おっと、今日はサラ・ヴォーンでした。

ともかく、そんななか、1958年のスウェーデンで、このアルバムをサラ本人が紹介していたものですから、また今晩も聴いているというわけです。

同じ三大女性ボーカリストと称されるエラ・フィッツジェラルドに比べ、サラのライブ・アルバムは特別少ないように思うのですが・・・ボーカルを聴き込んでいない私だからそう思うのでしょうか?
ともかく、そんなサラのライブ録音としては、じつに気持ちの良い一枚だと思います。シカゴのクラブ『ミスター・ケリーズ』この場に私がいたら、いったい何杯の酒をあおっていたことでしょう。(笑)
マイクを倒してしまう様子なんかも聞こえてきて、リラックス・ムード満点、お客さんは素敵な夜を過ごしたのでしょうね。
昨晩のTVでの「SEPTEMBER IN THE RAIN」と、このアルバムの同曲。
『5月の大雨』の後に聴くと、どちらの『9月の雨』が心に響きますか・・・・・・?

AT MISTER KELLY'S / SARAH VAUGHAN
1957年8月8日録音
SARAH VAUGHAN(vo) JIMMY JONES(p) RICHARD DAVIS(b) ROY HAYNES(ds)

1.SEPTEMBER IN THE RAIN
2.WILLOW WEEP FOR ME
3.JUST ONE OF THOSE THINGS
4.BE ANYTHING BUT DARLING BE MINE
5.THOU SWELL
6.STAIRWAY TO THE STARS
7.HONEYSUCKLE ROSE
8.JUST A GIGOLO
9.HOW HIGH THE MOON

追伸、
同盤のCDは、20曲を収録しているようです。今日は『アナログ』の話ですので、LP盤での紹介としました。