JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

彼女の忘れ物

2006年04月08日 | m-o

 
  - 足ぶみ -

  わらびみたよな雲が出て
  空には春がきましたよ。

  ひとりで青空みていたら、
  ひとりで足ぶみしましたよ。

  ひとりで足ふみしていたら、
  ひとりでわらえてきましたよ。

  ひとりでわらってしていたら、
  だれかがわらってきましたよ。

  からたちかきねが芽をふいて、
  小みちにも春がきましたよ。

突然の金子みすずさんの詩で始まってしまいました。
詩集「わたしと小鳥とすずと」に掲載されている詩であります。
じつはこの詩集、私が娘に贈った本なのですが、なんとあのバカたれが、忘れて行ってしまったのです。


今日は、天候も芳しくないので、『お出掛け』をとりやめ、本の片付けを始めました。息子や娘の残していった本もついでに整理しようと頑張っていたら、これが出てきたのです。さっそく本人に電話をかけました。
「なんだよ、せっかくお父さんが贈った詩集なのに、持っていかなかったの?」
「ごめん、やっぱりそっちにあった?荷物に入れ忘れちゃった。」
と素っ気ないもの
我が恋人は、もはや他の興味に心を奪われているようであります。それでも私が贈ったCDだけは、すべて持って行ったようですから、寛大な父は彼女を許してしまうのでありました。

ということで、コーヒー飲みながら、ジャズをながして、金子すずさんの詩を読み直したというしだい。
以前にも彼女の詩は紹介したことがありました、じつに暖かくて、素朴で、素敵な詩が多いのです。ただ、酔っぱらいおやじが口ずさむには、ちと可愛すぎますが(笑)

さて、今日の1枚は、モンクのソロとしては最も古いアルバムであります。
金子すずさんの詩とセロニアス・モンク、まったくかけ離れたように思うかもしれません。
ところが私の中では大いに共通点があります。
見解は人それぞれでしょうが、モンクのソロには、何とも言えない暖かさを感じます。私の心は彼のソロ・ピアノで確実に癒されるのです。
私にとって、この『癒し』が、金子すずの詩との共通点。
初っぱなの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」の出だしを聴くだけで、まさにモンクス・ワールドへと、私を誘ってくれるこのアルバム、大好きです。

このアルバムは、フランスのピアニスト兼プロデューサーだったアンリ・ルノーが、モンクのプレイにショックを受け、シャルル・ドロネーと二人で彼をフランスに連れて行ったことから、録音できた1枚であります。
フランスでの公演は、あまり良い反応では無かったようですが、この録音を残してくれたことに私は感謝しています。
それともう一つ、このフランス公演のおかげで、モンクの生涯の恩人ニカ夫人に、彼は出会うことができました。彼女がいなかったらその後のモンクは無いでしょうから、このことにも私は感謝をしております。

THELONIOUS MONK (SOLO ON VOGUE)
1954年6月7日録音
THELONIOUS MONK(p)
1.'ROUND ABOUT MIDNIGHT
2.EVIDENCE
3.SMOKE GETS IN YOUR EYES
4.WELL YOU NEEDN'T
5.REFLECTIONS
6.WE SEE
7.ERONEL
8.OFF MINOR