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書評・日本戦艦の最後・吉村真武他

2016-05-21 16:22:03 | 大東亜戦争

書評・日本戦艦の最後・吉村真武他

 大東亜戦争に参戦した、十二隻の戦艦の最期を、乗組員が個人的体験をつづったものの集大成である。滅びゆく者の物語だから凄惨なことは致し方ない。

 ただひとつレイテ沖海戦の総括で、米海軍のハルゼー提督が戦訓として意外なことを語っているので、それを書くにとどめる(P54)。

 「この戦闘から学びえたもっとも重要な教訓は、海上を自由に行動する大艦隊を、飛行機だけで無力化するのは事実上困難である。」と。

 マリアナ沖海戦で、日本の空母航空兵力は壊滅し、本海戦に参加した4空母は航空戦力を持たない、囮そのものであった。米空母は栗田艦隊本隊、西村艦隊、小沢艦隊に自在に航空攻撃を加えた。それでも沈没した戦艦は、栗田の武蔵、圧倒的な米艦艇軍に正面攻撃を加えた、西村艦隊の二戦艦だけであった。

 日本側から言えば、目的である敵上陸船団の攻撃に失敗し、満身創痍になって柱島に帰投した、完敗である。だが、米側からしても、航空機が戦艦に勝つ時代になったと言われても、航空攻撃だけでの、大艦隊の殲滅がいかに困難かをかみしめていたのである。そのことを考えれば、マリアナ沖海戦時点はもちろん、フィリピン沖海戦も戦略の立て方はあったのであろう。戦略の間違いは戦術では補えない、という。冒頭のパルゼーの言葉に、敢闘した日本海軍将兵は以て瞑すべしであろう。



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