毎日のできごとの反省

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夢二と大橋歩とビアズリー

2020-04-26 14:10:47 | 女性イラスト

現代の芸術は大衆のなかにある。

浮世絵は、江戸時代には大衆には普及してはいたが、今で言う芸術扱いではなかった。芸術扱いされたのは、狩野派などのお抱え絵師だった。浮世絵の芸術としての評価が高まったのは、ヨーロッパ人に浮世絵が見出されたからであることはよく知られている。日本人の発明や発見の多くが日本人には無視され、西欧人に評価されるとこれに追随して日本人の評価が高まるのと同じパターンである。

 ビアズリーは印刷技術の進展に追いつく前に三〇歳にもならぬうちに若死にした。木版のような白黒印刷全盛期に生きたのである。そしてカラー印刷とグラデーション印刷の技術が鑑賞にたえるようになる前に死んだ。竹久夢二と大橋歩さんは様式化の極限を追及したために、様式の進化に失敗して最後には大衆に敗北した。早い話が大衆に飽きられたのである。竹久夢二は今ではメジャーとなり、夢二美術館はそこいらじゅうにある。だが現役の夢二は最後は様式の限界に突き当たったのである。大橋歩さんの場合はハンドメイドのイラストレーションの全盛を生きた幸せな最後の一人であろう。

 林静一のように、今でも、竹久夢二風の、あるいは浮世絵もどきを演じて細々と生きている者より幸せだったのであろう。何よりも大衆に敗北したのは芸術家としてはいたしかたない。近現代芸術の評価を決めるのはそれ以前の時代と異なり、ひとにぎりの粋人ではなく大衆だからである。

 


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