毎日のできごとの反省

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米国の滅亡

2016-07-26 15:05:54 | 歴史

 ソ連崩壊よりかなり以前、ソ連が滅亡する原因として、イスラム社会のソ連内での急速な活動を指摘する本があった。しかし、ソ連は解体されたが、結局は旧ロシアに戻ったのに近い。ただ、帝政と言う統治形態を廃しただけである。帝政ロシアの時代は、ヨーロッパの一国に過ぎず、権謀術策でヨーロッパの国々と、色々な同盟を繰り返していた。

ところが、ソ連は東欧を支配下に置くことにより全西欧と対峙することができる「大帝国」となった。ロシア帝国は単に皇帝がいるから帝国を名乗っていたが、ソ連は自国の他にヨーロッパの半分を支配することにより、米国プラス西欧と対峙することのできる、実力としての帝国であった。歴史的にはそれが異常だった。結局ほぼスラブ民族の一部によるロシアに戻ることにより、帝国は解体されたが滅亡は免れた。

アメリカはどうだろう。アメリカは何時かは、滅びる。滅びた結果の、現在の合衆国領土はどういう統治形態になっているか、予測はつかない。しかし、滅びる原因は民族問題である。現在の支配民族はWASPと呼ばれる白人である。ところがヒスパニック系や黒人の増加が著しく、いつかはWASPは少数民族となる。それが米国滅亡の始まりである。

米国は、黒人が公民権を得て、建前の人種間の平等が成立してから何十年もたつのに、人種差別はなくなるどころか、潜在的にはひどくなっているとさえいえる。それに、イスラム系のテロやメキシコなどからの不法入国である。

中共にしても、漢民族ですら複数の異民族から構成されている。だがアメリカと決定的に異なるのは、福建人でも広東人でも、歴史的に民族と土地が結びついている。だから漢民族国家が分裂する可能性はある。しかし、ウィグルのような異民族は別として、漢民族にはなぜか統一志向があり、統一と混乱を繰り返している。しかし、多くの識者が言う通り、各王朝間には連続性はない。滅亡と勃興を繰り返しているだけである。

これに対してアメリカは、一つの州をとっても色々な民族、人種が住んでいる。白人と黒人とヒスパニックを例にとれば、州内で相対的にどれかの民族が多いと言う地域はあるにしても、民族や人種と土地との歴史的結びつきは希薄である。大雑把に言えば、アメリカは各州に色々な人種がばらまかれているのである。

だから、、アメリカが民族ごとに分裂する地理的に起因する必然性は少ない。ところが黒人とヒスパニックは、人数に於いて白人を圧倒する時期が来るのであろう。そうなったときWASPのアメリカ、という本音のアイデンティティーは崩壊する。その時が米国の滅亡の始まりである。

支那でモンゴル帝国が滅んだとき、再統一は漢民族と呼ばれる、いくつかの民族が定住する地域で統一された明朝が成立した。WASPを漢民族になぞらえることは困難である。米国にはWASPだけが住む歴史的地域はないのだから。

その一方でカナダには白人がいて、中南米には米国のヒスパニックに人種的に似た人々が住んでいるから、WASPの衰退は南北アメリカを巻き込んだ混乱を惹起する可能性がある。また、現在でも厳然として黒人やインディアンに対する差別は存在するのだから、それらの人種が占有する居住地域を作って独立する可能性はある。だから米国の滅亡の始まりから、アメリカ大陸の国家の再編までには、永い混乱期が続くのだろう。それどころか、終わりの始まりですら、今生きている人間は見ることができない先の話である。