毎日のできごとの反省

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国鉄分割民営化の目的とは?

2015-10-17 20:01:59 | 共産主義

 平成27年10月1日から日経新聞の、私の履歴書というコーナーにJR東海名誉会長の葛西敬之氏の連載が始まった。驚いたのは、当事者が自ら国鉄分割民営化の本当の目的を正面から書いていることだった。分割民営化の議論が行われている当時からの、小生の推測とぴたりと一致したのである。小生はごく自然だと思っていたが、仕事関係の知人に話すと、意外だと言う顔をされたが、考えは変わらなかった。

 連載一回目から書いている。氏は、静岡と仙台に勤務して、国鉄の職場の崩壊を目の当たりにした。労組と当局の悪慣行がはびこる実態を目にして、「国鉄の再生には分割民営化しかない」という確信を持った、というのだ。要するに、国鉄をダメにした労組の力を削ぐには、分割民営化しかない、ということである。

 分割することによって労組の組織を小さくし、民営化して利益感覚を持たせることによって、労組の横暴を自然に止める、ということである。静岡鉄道管理局の総務部長に就任した氏には早速、一人の新人の配属先を動労の要求により替えろ、本社から指示があった。突っぱねると、ストライキをやられて多数の客に迷惑をかける、と言われたが、それでも断り、東京の動労幹部から電話があって、これも断ると、「お前と話してもダメらしいな。後は戦場でまみえよう。」ときつい口調で言われた。

 すると動労は病気と称して集団欠勤したので、国労幹部に話して、乗務をかわってもらって解決した、というのである。仙台では助役たちを虐めたり、威嚇して、仕事をさぼる悪慣行を認めさせた、というので、早速、氏は悪慣行の廃止を宣言すると、無断欠勤を始めたというのである。

 すると氏は、働かないから、といって次々と賃金カットをしたというからすごい。本社のキャリア組は組合の筋の通らない要求に屈したり、水面下で労組幹部と手を結び、見逃していた結果が国鉄の惨状をもたらした、というのだ。だから現場の管理職や良心的な組合員は、キャリア組に不信感を持っていたのだが、氏は実行力で信頼されるようになった、というのは当然であろう。

 小生も高松にいたころ、ある会合の後の飲み会で、国鉄の現場管理職の愚痴を聞いた。愚痴は労組批判ではなく、二、三年で転勤してしまうキャリア組が、トラブルを恐れて労組となれ合うことに対する批判であった。だから氏の言うことはよく分かるのである。国鉄の惨状が色々書かれているが、氏の勇気には敬服する他ない。小生も労組の威嚇などにあった経験があるが、筋を曲げることはなかったつもりだが、本当の信念を通すことはできなかった。二十年経っても、当時の経験を氏のように新聞どころか、ブログ程度のものにすら公表する勇気すらないのである。氏の勇気には敬服する。