褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 成功の甘き香り(1957) 骨太の社会派映画

2018年10月07日 | 映画(さ行)
 金や富の匂いがするニューヨークを舞台に野心家の男たちが成功を求めて暗躍する。マスコミの裏側を暴露した社会派映画の傑作が今回紹介する成功の甘き香りだ。
 バート・ランカスタートニー・カーティスの当時の大スターの二人が、両方とも悪役を演じている。
 人気コラムニストとして権勢を誇るバート・ランカスターの傲慢さ、成功するために大物に媚びを売り、弱みを握った相手を卑怯な手段をつかってでも陥れたりする姑息で小物のトニー・カーティス。両者ともに悪役ながら正反対のキャラクターで魅せる。
 日本でコラム二ストと言ってもあんまりピンとこないが、本作を見る限りアメリカのコラムニストはかなりの凄さを本作では見せてくれる。豊富なネタを持っているために政治家にも脅しをかける。そして同業者のライバルが弱みを見せたら、それを脅しに利用して成り上がっていこうとしたり、自分のネタを新聞に載せてもらうために生活苦にあえいでいる女性も利用する卑怯っぷりが見れる。
 
 それでは良心の欠片もない人間のクズっぷりを見ることができるストーリーの紹介を。
 ニューヨークを中心に活躍する人気コラムニストであるJJ・ハッセンカー(バート・ランカスター)は政治家にも顔が利く超大物。目障りな相手が居ると電話一本で陥れることができるので、誰も彼に対して表立って批判する者はいない。
 そんな彼でも悩ませているのが最愛の妹スーザン(スーザン・ハリソン)がナイトクラブでバンドのギター弾きであるスティーヴ(マーティン・ミルナー)と恋仲であること。妹を溺愛するJJ・ハッセンカーは自分に媚びを売ってくるシドニー(トニー・カーティス)を利用して妹スーザンとスティーヴの仲を引き裂こうとする。
 シドニーはスティーヴを陥れるためにウソの記事を新聞社に卑怯な手段を使って売り込むのだが・・・

 ニューヨークは俺の物だと言いかねない傲慢な男が、妹を結婚させまいとする内輪揉めの小さな話がメインストーリーになっているのが少々残念だが、それでもウソやでっち上げで他人を陥れる様子を見ているとマスコミの怖さを感じるし、保守と言われる政治家、書評が大いに叩かれて陥れられている何処かの国を見ていると、本作のストーリーが決して日本人にも絵空事でないことがわかる。
 男の野望、欲望の犠牲に立つのは常に女性。本作を見ているとそのように感じるが、ラストシーンは女性の強さを簡潔にだが上手く描いていると思う。
 モノクロの画面に写し出される夜のニューヨークの雰囲気は渋くてジャズが似合う。そして、絶対に嘘やデタラメを言って人を騙してはいけないと心に誓おうと思える映画だ。
 渋いモノクロの映画を観たくなった人、悪役が活躍する映画観たい人、ニューヨークが好きな人・・・等に今回は成功の甘き香りをお勧めしておこう。

成功の甘き香り [DVD]
トニー・カーティス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 


 

 
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