褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 無防備都市(1945) イタリアネオリアリズモの傑作です

2017年07月02日 | 映画(ま行)
 第二次世界大戦後にボロボロになってしまったイタリアだが、逆にそのことを利用してドキュメンタリータッチの手法、素人の起用などでネオリアリズモと呼ばれる傑作が次々と生まれたイタリア映画。そんな中でも今回紹介する映画無防備都市は代表的作品だ。
 俺が思うに本作を含めて1940年代末から1960年代にかけてのイタリア映画は全盛期であり最強だ。最近のイタリア映画は本当に面白くないからなのか、内容がどうしようもないからなのか本当に見かけない。

 実は本作は1945年の映画で、第二次世界大戦が終わりイタリアが解放されてからまだ間もない時に製作された。まだ民衆にファシズム、ナチスの恐怖から完全にぬぐい去れていない時期のはずだが、内容はナチスに対するレジスタンス達の戦いを描いている。その内容もしかりだが、モノクロの映像を通して生々しい緊迫感が伝わってくる。
 本作がどのくらい傑作かというと、あの大女優イングリッド・バーグマンがこの映画を観て、夫と子供を捨てて、本作の監督であるロベルト・ロッセリーニのもとに走ったぐらいだ。
 
 さて、ナチス配下の秘密警察であるゲッシュタポの残忍性が際立って描かれ、そして不屈のレジスタンス達の苦闘を描いたストーリーの紹介を。
 ナチスの支配下にされてしまったローマにレジスタンスの指導者であるマンフレディが資金集めのためにやってくる。しかし、すでにマンフレディはゲッシュタポから狙われており、マンフレディは同志のフランチェスコのお宅を隠れ家にする。自分で身動きできないマンフレディは神父のドン・ピエトロに資金配送を頼んでいた。
 しかし、彼らの行動はなぜかゲッシュタポに筒抜けになる。神父ドン・ピエトロの手引きでマンフレディを別の隠れ家へ連れて行こうとするのだが・・・

 舞台はカトリックの総本山のおひざ元であるローマなのに戦争の状況では神の祈りでさえ全く通じない。レジスタンス達とその家族に訪れる運命は悲惨な出来事ばかり。
 結婚式の日に、ゲッシュタポに捕まったフランチェスコを追いかける婚約者のピーナ(アンナ・マニャーニ)が、背後からナチスに撃たれて射殺される場面は名シーンであり、よく映画のポスター等で見かける。
 口を割らすまで徹底的に拷問するシーンは、ナチスの非情さを際立たせると同時に、イタリア民族の誇り、信念の強さをまざまざと見せつける強烈なシーン。その時に神父がひたすら祈り続ける姿に涙する。
 『立派に死ぬことは難しいことではない、立派に生きることが難しいのだ』なんて素敵な台詞を言ったかと思うと、神に仕える者らしく慈悲の心を示す神父ドン・ピエトロの結末、そして最後の子供たちの姿。救いようのない世界にほんのわずかな希望を感じさせるシーンが最後に見れる。
 
 古い映画、モノクロ、イタリア映画と聞くと、それだけで退屈しそうで敬遠されそうだが、実際は最初から惹きこまれる映画。まだ生々しい傷跡が残るローマが描かれているだけに、近頃作られる戦争映画なんかよりもリアリティがある。タカ派、ハト派のすべての人に観てほしい映画として今回は無防備都市を挙げておこう

無防備都市 [DVD]
アルド・ファブリーツィ,アンナ・マニャーニ,マルチェロ・パリエロ,フランチェスコ・グランジャケット
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督は前述したロベルト・ロッセリーニ。戦争をオムニバス方式で描いた戦火のかなた、しょぼい詐欺師が英雄としての死を選ぶロべレ将軍がお勧めです。


 
 




 
 
 
 
 
 
  

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