比較的最近に超豪華キャストで同名タイトルのミュージカル映画が公開されていたような気がするが、本作はもうチョッと古い映画。ちなみに本作はミュージカルではないので歌いながら涙を流すようなシーンは出てこない。
今でもアッチコッチで何回も映画化され、ミュージカルの舞台が行われるなど世界中で人気のあるレ・ミゼラブル。フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作とする同名タイトルの映画化作品だ。
原作は相当長いが本作は囚人ジャン・ヴァルジャンとシャヴェール警部の二人の関係に焦点があてられており、それぞれリーアム・ニーソンとジェフリー・ラッシュの現在も活躍する名優が演じている。そして本作はこの二人の演技合戦の様相も呈するところが大きな見どころ。とくにジェフリー・ラッシュの目つきが、やば過ぎで役に入り込んでしまっているのがよくわかる。
さて、18世紀半ばに描かれたレ・ミゼラブルは現在に至るまで、なぜこれほどの人気があり、読み継がれるのか?俺なりの答えとして原作全体に伝わる無償の愛が何時の時代にも必要だということが伝わってくるからだろう。無償の愛を受けた人間が、さらに無償の愛を多くの人に与えていく。この連鎖関係が実に気持ち良い。
恩返しという言葉が、よく良い意味で解釈されているが、無償の愛には恩返しという見返りなど求めていない。俺が先輩から受けた恩は後輩に施す。そして後輩は俺に恩返しをするのではなくて、さらにその下の後輩に恩送りをする。恩送りという言葉だが、俺の知り合いが使っていたので、最近は俺も頻繁に使わさせてもらっている。
しかし、一人で恩送りばかりしていたんでは自分の生活が大変だ。だが、最近実感するのが恩返しを求めなくても、結果として恩返しをしてもらってるよね~と言うこと。ああ、ありがたや。
本作も確かに無償の愛といったテーマは描かれている。しかし、前述したように囚人と警部の人間関係が多く描かれているので、この二人の間に無償の愛など無いし、元からあるわけがない。
本作を面白くしているのが、同情の余地があるとはいえ保釈中にさらに罪を重ねて逃亡生活を強いられてしまっているジャン・ヴァルジャンと彼を執拗に追いかけるシャヴェール警部の何十年にも及ぶ追走劇。まさにスリリングなレ・ミゼラブルを観ることができる。
無償の愛を受けて罪人から一転して非の打ち所がない人間となったジャン・ヴァルジャン、あくまでも法に従いとことん罪人の汚名を被っているジャン・ヴァルジャンを追いつめるシャヴェール警部、二人にはどのような結末が待っているのか。それではストーリーの紹介を。
腹を空かして、ついつい目の前にあったパンを盗んでしまって19年の重労働の刑を受けたジャン・ヴァルジャン(リーアム・ニーソン)は保釈される。しかし、帰るところのない彼だったが司教のお宅で泊めてもらう。しかし、あろうことかその夜に銀食器を盗み、司教に暴力をふるい逃亡。その矢先に憲兵に捕まって、司教の前に連れ出されるのだが、そこでジャン・ヴァルジャンは司教の無償の愛に接し善人として生きることを誓う。
時は流れて9年後、ヴィゴーの市長兼工場長となったジャン・ヴァルジャンは偽名を使っているが今やすっかり市民の尊敬を得ている。しかし、そこに重労働の刑場で門番だったシャヴェール警部(ジェフリー・ラッシュ)が新任警察署長として赴任してきてしまい・・・
次から次へと善人として生きてからも厄介なことがジャン・ヴァルジャンの身に起きるが、裁判所での正義の行動は凄い。まあ、俺だったら違う選択をして市長の座にしがみついていたかもしれない。
この映画はあの有名なナポレオンが没後の時代設定。彼はヨーロッパ全土を支配する勢いで侵略して行ったが、実は彼の業績として我が国日本の民法も影響を受けているナポレオン法典の制定に深く関わっていることがある。ジャン・ヴァルジャンとシャヴェール警部との激しい会話のやり取りで法律を用いた舌戦の場面があるが、この時代ぐらいから世界中に法律という概念が出てくるのか?という興味に惹かれるシーンだ。
シャヴェール警部が頭の中が法律に支配されている真面目というよりも堅物の人間。そんなシャヴェール警部を見ていると、何時の時代でも法律では解決できない問題があるということを感じる。しかし、ナポレオン法典が出来てまだ間がない時に、このようなテーマを盛り込んだヴィクトル・ユーゴーはやっぱり凄い。
この映画のジャン・ヴァルジャンのように改心して、善人に変わることが出来れば良いが、実際はなかなか人間は変わることができない。そして自分には良いことなんか何もない無償の愛で接することがどれだけ難しいことか俺にはよくわかる。
しかし、この世の中は口だけは偉そうなことを言って、行動が伴わない人間が多すぎる。世のため、人のためと言いながら、恩返しを求める奴が多いから、貧しくて苦しい人は全く報われない時代になってしまっている。そう言う意味では本作は政治家を志す人は必見かもしれない。権力は自らの欲望のためではなく、公のために使うということが理解できるだろう。
ミュージカル映画が嫌いな人でレ・ミゼラブルに興味がある人、俳優の凄さを知りたい人、何だか恩を仇で返されていると思っている人、自分さえ良ければ良いやと思っている人などに今回はレ・ミゼラブルの1998年版をお勧めとして挙げておこう
監督はデンマーク人のビレ・アウグスト。最近はデンマークからユニークな映画監督が多く出てきているが、その少し前の世代の監督になる。北欧の厳しい自然、社会を描いているペレ、豪華キャストで愛欲の世界が繰り広げられる愛と精霊の家、ネルソン・マンデラと看守の友情を描いたマンデラの名もなき看守がお勧めです。
今でもアッチコッチで何回も映画化され、ミュージカルの舞台が行われるなど世界中で人気のあるレ・ミゼラブル。フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作とする同名タイトルの映画化作品だ。
原作は相当長いが本作は囚人ジャン・ヴァルジャンとシャヴェール警部の二人の関係に焦点があてられており、それぞれリーアム・ニーソンとジェフリー・ラッシュの現在も活躍する名優が演じている。そして本作はこの二人の演技合戦の様相も呈するところが大きな見どころ。とくにジェフリー・ラッシュの目つきが、やば過ぎで役に入り込んでしまっているのがよくわかる。
さて、18世紀半ばに描かれたレ・ミゼラブルは現在に至るまで、なぜこれほどの人気があり、読み継がれるのか?俺なりの答えとして原作全体に伝わる無償の愛が何時の時代にも必要だということが伝わってくるからだろう。無償の愛を受けた人間が、さらに無償の愛を多くの人に与えていく。この連鎖関係が実に気持ち良い。
恩返しという言葉が、よく良い意味で解釈されているが、無償の愛には恩返しという見返りなど求めていない。俺が先輩から受けた恩は後輩に施す。そして後輩は俺に恩返しをするのではなくて、さらにその下の後輩に恩送りをする。恩送りという言葉だが、俺の知り合いが使っていたので、最近は俺も頻繁に使わさせてもらっている。
しかし、一人で恩送りばかりしていたんでは自分の生活が大変だ。だが、最近実感するのが恩返しを求めなくても、結果として恩返しをしてもらってるよね~と言うこと。ああ、ありがたや。
本作も確かに無償の愛といったテーマは描かれている。しかし、前述したように囚人と警部の人間関係が多く描かれているので、この二人の間に無償の愛など無いし、元からあるわけがない。
本作を面白くしているのが、同情の余地があるとはいえ保釈中にさらに罪を重ねて逃亡生活を強いられてしまっているジャン・ヴァルジャンと彼を執拗に追いかけるシャヴェール警部の何十年にも及ぶ追走劇。まさにスリリングなレ・ミゼラブルを観ることができる。
無償の愛を受けて罪人から一転して非の打ち所がない人間となったジャン・ヴァルジャン、あくまでも法に従いとことん罪人の汚名を被っているジャン・ヴァルジャンを追いつめるシャヴェール警部、二人にはどのような結末が待っているのか。それではストーリーの紹介を。
腹を空かして、ついつい目の前にあったパンを盗んでしまって19年の重労働の刑を受けたジャン・ヴァルジャン(リーアム・ニーソン)は保釈される。しかし、帰るところのない彼だったが司教のお宅で泊めてもらう。しかし、あろうことかその夜に銀食器を盗み、司教に暴力をふるい逃亡。その矢先に憲兵に捕まって、司教の前に連れ出されるのだが、そこでジャン・ヴァルジャンは司教の無償の愛に接し善人として生きることを誓う。
時は流れて9年後、ヴィゴーの市長兼工場長となったジャン・ヴァルジャンは偽名を使っているが今やすっかり市民の尊敬を得ている。しかし、そこに重労働の刑場で門番だったシャヴェール警部(ジェフリー・ラッシュ)が新任警察署長として赴任してきてしまい・・・
次から次へと善人として生きてからも厄介なことがジャン・ヴァルジャンの身に起きるが、裁判所での正義の行動は凄い。まあ、俺だったら違う選択をして市長の座にしがみついていたかもしれない。
この映画はあの有名なナポレオンが没後の時代設定。彼はヨーロッパ全土を支配する勢いで侵略して行ったが、実は彼の業績として我が国日本の民法も影響を受けているナポレオン法典の制定に深く関わっていることがある。ジャン・ヴァルジャンとシャヴェール警部との激しい会話のやり取りで法律を用いた舌戦の場面があるが、この時代ぐらいから世界中に法律という概念が出てくるのか?という興味に惹かれるシーンだ。
シャヴェール警部が頭の中が法律に支配されている真面目というよりも堅物の人間。そんなシャヴェール警部を見ていると、何時の時代でも法律では解決できない問題があるということを感じる。しかし、ナポレオン法典が出来てまだ間がない時に、このようなテーマを盛り込んだヴィクトル・ユーゴーはやっぱり凄い。
この映画のジャン・ヴァルジャンのように改心して、善人に変わることが出来れば良いが、実際はなかなか人間は変わることができない。そして自分には良いことなんか何もない無償の愛で接することがどれだけ難しいことか俺にはよくわかる。
しかし、この世の中は口だけは偉そうなことを言って、行動が伴わない人間が多すぎる。世のため、人のためと言いながら、恩返しを求める奴が多いから、貧しくて苦しい人は全く報われない時代になってしまっている。そう言う意味では本作は政治家を志す人は必見かもしれない。権力は自らの欲望のためではなく、公のために使うということが理解できるだろう。
ミュージカル映画が嫌いな人でレ・ミゼラブルに興味がある人、俳優の凄さを知りたい人、何だか恩を仇で返されていると思っている人、自分さえ良ければ良いやと思っている人などに今回はレ・ミゼラブルの1998年版をお勧めとして挙げておこう
レ・ミゼラブル [DVD] | |
リーアム・ニーソン,ジェフリー・ラッシュ,ユマ・サーマン,クレア・デインズ | |
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント |
レ・ミゼラブル [Blu-ray] | |
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監督はデンマーク人のビレ・アウグスト。最近はデンマークからユニークな映画監督が多く出てきているが、その少し前の世代の監督になる。北欧の厳しい自然、社会を描いているペレ、豪華キャストで愛欲の世界が繰り広げられる愛と精霊の家、ネルソン・マンデラと看守の友情を描いたマンデラの名もなき看守がお勧めです。
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