褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 死刑台のエレベーター(1958)ジュテ~ム、ジュテ~ム

2017年07月09日 | 映画(さ行)
 フランスのヌーヴェルヴァーグを代表する監督であるルイ・マル監督。彼が弱冠25歳の時のデビュー作であるのが今回紹介する死刑台のエレベーター。名監督と呼ばれる人はデビュー作からその才能を見せつけることが多いが、本作がまさにそのパターン。今観ても色あせないフランス製サスペンス映画の傑作だ。

ちなみに俺が最初に覚えたフランス語がje t'aimeジュテーム)。実は今でもこの言葉しか知らないのだが、日本語で『愛してます』という意味だ。
 さて、そのジュテームだが、この言葉を覚えたのは本作を初めて観た時のこと。冒頭から電話で男女が話している言葉がジュテームの連発。
 今やフランスを代表する大女優となってしまった若きジャンヌ・モローが公衆電話から悩まし気に不倫相手の男に語りかける。その様子はまるで、かつて流行ったテレクラにふけっているかのようだ。
『ジュテーム、キスして』『ジュテーム、待ってるわ』『ジュテーム、怖いのね』『ジュテーム、早く殺してよ』・・・等。確かにこれだけ『ジュテーム、・・・』を連発されると俺でなくても自然にジュテームの意味がわかるし、そりゃ~言われている男の方も頭がおかしくなって、不倫相手の女性の旦那を殺そうかと思ってしまう。

 早速だが、サスペンス映画のストーリーの紹介を。
 ジュリアン(モーリス・ロネ)は自分が勤める会社の社長夫人であるフロランス(ジャンヌ・モロー)と不倫関係の真っただ中。
 ジュリアンは社長を自殺に見せかけて殺害することに成功。一旦は会社を出たジュリアンだが致命的なミスに気づき、証拠隠滅のために会社に戻る。しかし、エレベーターに乗っている途中に運悪く電源を切られてエレベーターは途中でストップし、閉じ込められてしまう。
 一方、フロランスは待ち合わせていた時間になっても来ないジュリアンを不安に思いながら、夜のパリを徘徊するのだが・・・

 ジュリアンの完全犯罪を狙った殺害シーンは、非常にお粗末なレベル。証拠隠滅することを忘れてしまう上に、エレベーターに閉じ込められる運の悪さ。ここからダイ・ハードのブルース・ウィリスなら見事にエレベーターから脱出してしまうのだろうが、悲しいことにジュリアンはチョッとだけブルース・ウィリス並みの精神力とパワーを見せるが、とにかく運が悪いのが致命的。そもそも、ジュテームボケに罹って人殺しをしているのが問題だ。
 更にエレベーターに閉じ込められている最中に別の殺人事件が起きるのだが、その容疑者にジュリアンがなってしまう展開が、非常にストーリーを面白くしている。
 しかしながら、妙に印象に残るのはジャンヌ・モローが深夜のパリを彷徨っているシーン。その時に流れるマイルス・デイヴィスの即興演奏(観ている最中に即興で作った音楽だなんて気付くわけがないのだが)で流れるジャズが、女性の不安、孤独、募る想いを感じさせる。本作を観ればサスペンス映画というのは、ストーリーが重要なのはもちろんだが、主演女優の魅力も作品の出来の良し悪しに大いに関わってくるというのがよくわかる。
 ヌーヴェル・バーグと聞いて心が躍る人、自分は運が悪いと思って悩んでいる人、名作と呼ばれるサスペンス映画を観たい人、フランス語が好きな人・・・等などに今回は死刑台のエレベーターをお勧め映画として挙げておこう

死刑台のエレベーター HDリマスター版 [DVD]
ジャンヌ・モロー,モーリス・ロネ
株式会社アネック


死刑台のエレベーター ブルーレイ版 [Blu-ray]
ジャンヌ・モロー,モーリス・ロネ,ジョルジュ・プージュリ
株式会社アネック


 監督は前述したようにルイ・マル。ヌーベル・バーグを代表数する監督は多いですが、その中でも個人的に最も好きな監督。最初観た時はメチャクチャ笑えるドタバタコメディの地下鉄のザジ、個人的には破滅的な主人公に共感してしまう鬼火、悲惨な青春時代を送らざるを得なかった主人公を描いたルシアンの青春、監督の自伝的作品さよなら子供たち
等、お勧め映画多数です。 

 

 
 

 

 
 


 
  

 

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