褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 リオの男(1964) 元気なジャン・ポール=ベルモンドが見れます

2022年07月03日 | 映画(ら行)
 近年は世界的にも著名人が多々亡くなっていく。その中でも昨年亡くなった世界で一番の大物だといえば俺の中ではフランス映画界を長年に渡って引っ張ったジャン・ポール=ベルモンド。それにしても日本ではこの偉大なる俳優の死亡記事の小ささに日本のマスコミの知識の浅はかさに嘆かされた。ちなみに彼は日本にも多くの影響を与えている。あの大人気漫画のルパン三世のモデルはジャン・ポール=ベルモンドであり、アニメにもなった漫画コブラのモデルも彼である。個人的に彼の映画を全部観ているわけではないが、特に面白い映画を挙げるとすれば今回紹介するリオの男だ。ちなみにベルモンド自身はアクションはスタント無しで自分で殆どのシーンをこなすが、それはジャッキー・チェンにも影響を与えている。
 本作のベルモンドは危険なアクションシーンの連続であるのだが、そのように思わせないベルモンドの運動神経の良さ、危険な時でも飄々として笑いをとったり、ベルモンドの魅力がたっぷり詰まった作品だ。アクション、アドベンチャー、謎の遺跡など、スピルバーグ監督のインディジョーンズの大ヒットシリーズは本作の影響をモロに受けている。

 リオとはブラジルの中心都市だが、実はリオの景色だけでなくパリからブラジルのリオだけでなく、ブラジリア、そしてアマゾン流域地帯の観光気分にも浸れるストーリーの紹介を。
 航空兵であるアドリアン(ジャン・ポール=ベルモンド)は1週間の休暇でパリに戻ってきた。早速、恋人であるアニュエス(フランソワーズ・ドルアレック)の自宅に行こうとする。その頃、美術館では何者かにブラジルの古代文明の土偶が盗まれる。しかも、館長である考古学者であるノルベール(ジャン・セルヴェ)が、美術館を出たところで何者かに拉致されてしまう。
 連絡を受けたアニュエスだったが、親しくしていたノルベールが拉致に遭ったことに驚き、しかも警察から尋問を受けている所へアドリアンがやって来る。しかし、ふとした瞬間にアニュエスも何者かに連れ去られ、その場面をみたアドリアンはすぐさまアニュエスを追いかけるのだが、飛行場に到着。何とかアニュエスを助けたいアドリアンは彼女が連れ去られた飛行機に乗ることができるが、何と飛行機の行き先はブラジルのリオデジャネイロ。不審者扱いされたアドリアンはブラジルの警察に追われながらも、執念でアニュエスを取り戻そうとするのだが・・・

 とにかくジャン・ポール=ベルモンド演じるアドリアンがバイクで追いかけ、車で追いかけ、そして車で走り去る悪党集団を走って追いかける。またベルモンドの走りが速いし、とにかく走りまくる。1週間の休暇を超えたら脱走兵と見なされ処刑されるから、休暇をブラジルまでやって来て追いかけっこをしているヒマなど無いのだが、妙に手強い悪党と戦う。それだけでも面白い展開が続くのだが、更にブラジル古代文明の秘密を探るミステリーアドヴェンチャーになっているのが楽しいし、意外性もあったりで面白い。
 そして、危険なベルモンドのアクションシーン。アクションスターは高い所に登ることが好きなことを再確認させられた。タイトルの邦題には問題ありだが、とにかくベルモンドが大活躍するのが楽しい映画。スピード感満載のスリルもあり、笑いもあり。オープニングのリオのカーニバルの音楽も良い。インディジョーンズシリーズは金が掛かっているから、簡単に激しいスリルにアクションが楽しく作れるのはわかるが、本作はフランス映画であり大してカネが掛かっていないことがわかるので、ベルモンドの危険なアクションをこなすシーンはなかなか感動的。
 なんだかフランス映画と言えば暗い映画ばかりだと思っている人、ジャン・ポール=ベルモンドに興味を惹かれた人、アドベンチャー映画が好きな人等に今回はリオの男をお勧めに挙げておこう。

 監督はフィリップ・ド・ブロカ。反戦映画をコメディタッチで描いたまぼろしの市街戦がお勧め。
 そしてジャン・ポール=ベルモンドだが、ジャン=リュック・ゴタール監督が高らかにヌーヴェルバーグの時代の到来を告げたかのような勝手にしやがれ、これまたゴタール監督の代表作である気狂いピエロ、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の禁欲生活に耐えるモラン神父、これまたメルヴィル監督のフレンチノワールの大傑作いぬ、鬼才アラン・レネ監督が実在した詐欺師を描いた薔薇のスタビスキー、そして父親が莫大な財産を遺したことで謎の組織から狙われる相続人、少々オッチョコチョイな大泥棒を演じる大頭脳、元F1レーサーがギャングのボスに成り上がるオー!、アラン・ドロンと共演した暗黒街を舞台にしたボルサリーノ等、お勧め映画があり過ぎ。そしてアクションだけでなくコメディ、文芸、シリアスな分野もこなせる巾の広い演技が魅力的でもあり、顔が良いとは思いませんが、ちょっとした仕草が非常に格好良い俳優です。
 それからヒロインの役で出演したいたフランソワーズ・ドルアレックですが、この映画が公開当時は24歳。今や大女優となったカトリーヌ・ドヌーヴの実姉と知られていますが、亡くなったのが本作の公開の翌年である25歳の時。妹よりも早く売れ出していただけに本当に残念です。この女優さんの名前もずっと覚えておいて欲しいですね。









 

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