褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ロング・グッドバイ(1974) レイモンド・チャンドラー原作の映画化 

2016年06月12日 | 映画(ら行)
 アメリカが生んだ偉大なるハードボイルド小説作家レイモンド・チャンドラー。彼の長いお別れを原作とする映画化作品が今回紹介するロング・グッドバイ。レイモンド・チャンドラーのファンにはお馴染みの私立探偵の主人公フィリップ・マーロウが活躍する長編シリーズ物の一遍だ。これまでにも映画でフィリップ・マーロウを演じた俳優も多く、ハンフリー・ボガードやロバート・ミッチャムといったタフガイスターを代名詞とする俳優達が多く演じてきているが、今回演じるのがM★A★S★H マッシュのハチャメチャな軍医や、比較的最近ではオーシャンズシリーズ(オーシャンズ13)で心筋梗塞で死にそうになっていたのが印象的なエリオット・グールドが演じている。
 しかも監督が前述したM★A★S★H マッシュザ・プレイヤー等、非常にシニカルでブラックユーモアに特徴のあるロバート・アルトマン。ハードボイルド路線の映画にしては、何とも食い合わせが悪く感じるような監督と主役に思えるが、これが意外と言っては失礼だが今観ても斬新なマーロウ像を生み出し、古き良きハードボイルの香りを漂わせながらも、どこかアリャ?と思わせる設定、展開がけっこう楽しめる。

 フィリップ・マーロウもそうだが、だいたい昔の私立探偵を主役にした映画はトレンチコートに帽子を被ってビシッと決めたスタイルが定番。しかし、本作におけるフィリップ・マーロウはトレンチコートなんか着ているシーンは無くネクタイはヨレヨレ。帽子も被らず頭の髪の毛はボサボサ。いつもボヤキを連発している様子は何だか人生に疲れているように見えるし、それにタバコ吸いすぎ。そして我々が思う私立探偵にしては、頭の回転が早いように見えないし、犬に吠えられてビビッている姿を見ていると、誰もこんな探偵に困った事件の解決をお願いなどしようと思わないはずだ。

 レイモンド・チャンドラー原作の映画化と聞くと、きっと本格的なミステリーサスペンスを期待する人が大半だと思うが流石にこの主人公のキャラクターでは・・・。それではストーリーの紹介を。
 私立探偵であるフィリップ・マーロウ(エリオット・グールド)の部屋に友人のテリーがやって来た。このままでは殺されそうなのでメキシコの国境まで連れて行ってくれと頼まれ、マーロウはテリーを車に乗せて逃す。自宅に帰ってきたマーロウを待ち受けていたのは地元の警察。テリーは彼の妻を殺害した疑いを掛けられており、殺人犯の逃亡を助けた容疑でマーロウは警察にしょっ引かれる。しかし、直ぐに意外な理由でマーロウは釈放される。テリーがメキシコの町で拳銃自殺をしたのだ。
 数日後、著名な作家であるウェイド(スターリング・ヘイドン)の妻アイリーン(ニーナ・ヴァン・パラント)から行方不明になっている夫を探し出して欲しいと頼まれる。ある手掛かりからマーロウはすっかり酒浸りになってしまっているウェイドを探し出し妻の元に送り届けるが、その時にテリー夫妻とウェイド一家は知り合いだったことを知らされる。
 マーロウは直感でテリーは妻殺しをしていないと感じ、友人テリーの無実を晴らすために自ら調査を開始するのだが、彼の行く手を様々な困難が立ちはだかる・・・

 この映画のマーロウをめぐるどうでも良いような情報が楽しい。マーロウはけっこうな高層なアパートに住んで居るのだが、隣人はなんだか多くの女性が裸になって踊っていたり、飼っている猫が行方不明になってしまうのだが結局は見つからず終いで、どうなったのかもわからず。そんな情報要る?と思わせるシーンがけっこうある。非常に怖そうなヤクザの中にもオッチョコチョイな奴が居たりなど笑わせるシーンもあったりで、ロバート・アルトマン監督らしさを感じることができる。
 名匠ジョン・ウィリアムズによる音楽はジャズ的で刹那的な気分になれるし、フィリップ・マーロウのくたびれた感がよく出ている。決して驚くべき推理力を発揮するシーンなどないが、抜群の行動力を発揮し、どんなにボコボコに殴られても悪に媚びないマーロウはなかなか格好良く見えたりして、アラ不思議!。そしてチョッピリお茶目なマーロウが最後に見れるのも良い。
 映画を見ながら事件の謎を解決してやろうと思いながら見る人には、あまりにも急な展開が不満におもえるかもしれないが、個人的には『エエッ~、こんなんで良いの!?』と思わせる結末が衝撃的で良かった。もっと衝撃的なのが元カリフォルニア州知事の筋肉マッチョな大スターがチョイ役で見れる事。
 レイモンド・チャンドラー原作のファンが観るより、むしろ彼の作品のみならず推理小説なんか大して読まない人の方が楽しめるかもしれない。何はともあれ今回は映画ロング・グッドバイをお勧めとして挙げておこう

ロング・グッドバイ [DVD]
エリオット・グールド,スターリング・ヘイドン,ニーナ・バン・パラント
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は前述したロバート・アルトマン監督。シニカルな笑い、多数の登場人物を難なく捌いてみせる群集劇に傑作が多い。前述したM★A★S★H マッシュザ・プレイヤー以外にもゴスフォード・パークショート・カッツナッシュビルがお勧め。





 
 
 
 

 

 

 
 


 
 
 
 



 


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