褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 キングダム・オブ・ヘブン(2005) 現代にも通じる歴史劇です

2013年09月30日 | 映画(か行)
 遠い昔の歴史劇と聞かされると、全く世界史の苦手な人にとってはチンプンカンプンで最初から観るのを諦めてしまう人がいるが、確かに中には観ていて途中から全く話に付いていけない作品もある。しかし、今回紹介する映画キングダム・オブ・ヘブンは、日本人にも人気のあるリドリー・スコット監督作品。内容は中世のエルサレムを舞台にした十字軍とイスラム帝国の戦いを描いた歴史戦争映画。既にグラディエイターで歴史戦争映画で抜群の娯楽性を見せ付けているリドリー・スコット監督作品なだけに、今回も面白さは保証付き。そして主役も二枚目俳優の通称オーリーことオーランド・ブルーム(ロード・オブ・ザ・リング、パイレーツ・オブ・カリビアンなどの大ヒットシリーズ作品で有名)なだけに、女性が観ても楽しめるはず?
 
 確かにグラディエイターは観ているだけでハートが燃え上がり、心が熱くなる映画。特に歴史の知識が必要でもなく、また歴史を学ぶ要素も特になく、観終わった後に哲学的な考えが浮かんでくるわけでもない。ノーテンキな気分で観ていても充分過ぎるほど楽しめる作風。
 しかし、今回紹介する映画キングダム・オブ・ヘブンは、現在にも通じる中東地域の紛争の要因であるエルサレム問題についてお勉強した気分になり、しかも現在のすっかり平和ボケしてしまった日本人にも何かと示唆するシーンも多い映画。宗教、共存共栄、リーダーシップ、政治など様々なテーマが内包されている。多くの名作、ヒット作を連発するリドリー・スコット監督だが、俺が観た彼の作品の中では最も彼の凄みを感じ、そして最も好きな映画でもある。

 本作品の舞台背景となる聖地エルサレムについてだが、キリスト教側のエルサレム王であるボードゥアン4世とイスラム帝国側のリーダーであるサラディンの間で、危ういながらも微妙な均衡の基で保たれていて休戦状態。エルサレム王であるボードゥアン4世もイスラム帝国側のリーダーであるサラディンも優秀な政治家であり、カリスマ性を持っていた。歴史的にずっとエルサレムではキリスト教イスラム教が対立が続いているように思われるが、この時は2人の優秀なリーダーのおかげで、戦争を回避できていたのだ。しかし、本作においてもある出来事をを切っ掛けにして、史実の通りに両者は戦争に突き進むことになる

 
 さて、一見すると日本人にとっては、全くどうでも良いじゃんと思える遠い場所、はるか昔の戦争の出来事を描いた映画だが、実は日本人こそ学ぶべきことが多い歴史戦争映画のストーリーとはいかなるものか。
 12世紀の中世の時代。フランスのある村において鍛冶屋をしていたバリアン(オーランド・ブルーム)は愛する妻が自殺して悲嘆に暮れていた。そこへ彼の父親だと名乗るゴッドフリー(リーアム・ニーソン)が現われ、一緒に十字軍として参加して、エルサレムへ行こうと誘われる。
 エルサレムへの道中で父親のゴッドフリー(ニーソン)が倒れたり、自らも襲撃されるなどのトラブルに遭いながらも、エルサレムに到着し騎士として一人前の男として育っていくのだが、やがて彼はエルサレムの時の王でハンセン病に罹っていて命が幾ばくも無いボードゥアン4世(エドワード・ノートン)を支えることを誓うのだが、やがてバリアン(ブルーム)は過酷な試練に襲われる・・・

 もちろん戦争場面は投石シーンの描き方も含めて抜群に面白いのは確かだ。しかし、この映画を観ていて思うのが、なぜ戦争になってしまったのか?バリアン(オーランド・ブルーム)は余命わずかのボードゥアン4世(エドワード・ノートン)からエルサレム王を継承するように頼まれるが、彼は断ってしまう。観ている我々からすれば確かにバリアン(ブルーム)は敵方のイスラム教の人間からも尊敬されている人物であるように、彼がエルサレム王を継承すれば戦争を回避できたのは明白。
 しかし、彼自身は伝統、秩序を重んじる人間。そして王に就く者は完璧なる人格者でなければならないし、ましてや罪を犯している者(実は彼は人殺し)が王の立場に就いてはいけないと思っている。それ故に彼はエルサレム王になることを断ってしまうのだが、それが悲劇の始まり。
 エルサレム王を継承したのは、イスラム教憎しのキリスト教の狂信者であるギーマートン・チョーカシュ)。ギー(マートン・チョーカシュ)は自らサラディン(ハッサン・マスード)に喧嘩を売ってしまい、悲惨な敗北を喫してしまう。
 戦争とは馬鹿が王に就いたら起こってしまうのは当然だが、王という位に就く者の心構えとして、完全なる善人では務まらず、時には悪に手を染めることも必要だと言うこと。優しいだけが取り得の人物では戦争を防げないということがよくわかる。
 そして一度戦争が起これば、負けることがわかっていても全滅覚悟で戦わなければならないこと。そうでなければ本作のように講和条件を引き出すことが出来ない。最初から白旗を揚げて降参していたのでは、奴隷として扱われるだけで苦しみから解放されないのは、歴史が証明していることである。それは我々、日本人がよくわかっている理屈でもある。
 さらに国王たるものは民のためにあるべき。現在の世界においても自国の民に毒ガスを噴射している独裁者がいるが、民主主義が如何に大切であるかが改めてよくわかる。

 決して、キリスト教にもイスラム教にも偏ったイデオロギーは感じられず、公平な視線で描かれているのも非常に好感が持てる。現在にまで到る聖地エルサレム問題の歴史の勉強をした気分になり、戦争に対して至極真っ当な主張は共感でき、俺こそリーダーであるべきだと自認する人には格好の教科書でもあるキングダム・オブ・ヘブンは万人にお勧めできるが、特にエセ平和主義者には必見です

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 監督はリドリー・スコット。ヒット作多数であるようにお勧め映画がたくさんある。前述したグラディエイターブラックホーク・ダウンエイリアンワールド・オブ・ライズブレード・ランナー、そして彼の中でも異色作に当たるニコラス・ケイジ主演のマッチスティック・メンもお勧め。

 主演はオーランド・ブルーム。前述したように2つの大ヒットシリーズ映画で有名ですが、それ以外にお勧め映画が見当たらないのが残念。彼自身は大して目立たないところでは同じリドリー・スコット監督のブラックホーク・ダウン、ブラッド・ピット主演のトロイはお勧め。

 エルサレム王の妹シビラを演じたのがエヴァ・グリーン。本作品でも美貌が光っていましたが、ベルナルド・ベルトルッチ監督のドリーマーズはかなりエロイし、お勧め。ダニエル・グレイヴ主演の007 カジノロワイヤルがお勧め。

 他に裁判官のティベリウス卿を演じていたのが名優ジェレミー・アイアンズ。ピレ・アウグスト監督、メリル・ストリープ、グレン・クローズなど豪華キャストの愛と精霊の家、ローランド・ジョフィ監督、ロバート・デ・ニーロ競演のミッションがお勧め。

 他にもエドワード・ノートンリーアム・ニーソンなど名優が出演しています。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ライムグリーン)
2013-09-30 19:24:46
十字軍…エルサレム…

歴史の授業で習ったような習ってないような…
返信する
ライムグリーンさんへ (ディープインパクト)
2013-10-01 08:30:13
十字軍、エルサレムは学校で習っているはずだよ。歴史の勉強は映画を観てもできるから、これからもたくさんの映画を観てね
返信する

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