褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 駅馬車(1939) 名作中の名作と言えばこれ

2015年08月01日 | 映画(あ行)
 西部劇として今でも語り継がれる傑作としてだけでなく、映画史上に燦然と輝く名作と言えば今回紹介する映画駅馬車。名作と呼ばれる映画の中には大して面白くない映画があったりするが、本作に関してはそんな心配は全くの無用。駅馬車に乗り合わせた人々の人間模様を丁寧に描きつつ、駅馬車に一斉にインディアンが襲い掛かってくるクライマックスのシーンはスリル、スピード感、危険度は他の映画の追随を許さない。もしかしたらマッドマックス2のタンクローリーを暴走族が追いかけてくるシーンなんかよりも凄いかもしれない。

 まさにハリウッド映画が西部劇の全盛時代の幕開けを告げる記念碑的、伝説的な名作のストーリーとは如何なるものか。
 アリゾナ州トントからニューメキシコ州ローズバーグへ向けて、1台の駅馬車が発車しようとしていた。その時アパッチ族が反乱を起こし居住区を出たとの連絡が入る。道中が非常に危険なために駅馬車の出発を見合わせる声もあったが、乗客の中には命知らずの者が居り、アパッチ族に襲撃されることを覚悟のうえで出発する。
 出発して間もなく銀行家ヘンリー・ゲートウッド(バートン・チャーチル)が乗り込んできて、しばらくすると脱獄囚のリンゴ・キッドジョン・ウェイン)がライフルを片手に持って駅馬車の前に立ち塞がる。リンゴ・キッド達を乗せた駅馬車は乗客たちの様々な思惑も乗せ、ひたすらローズバーグへ向かって大平原を突っ走るのだが、恐れていたアパッチ族が襲撃してくる・・・
 
 座席が向かい合わせで座って6人しか用意されていない駅馬車の狭い空間の中に7人(途中から8人)の乗客が詰め寄り、馬を手綱で操縦する人間が2人。そして、この乗客達がなかなかの個性的な面々。町を追い出された娼婦、体調が優れない女性、インチキ賭博士、酔っ払いの医者、気が弱い酒商人、金を横領している銀行家、そして途中から脱獄囚がライフルをぶっ放して強引に乗り込んでくる。
 いわゆる社会のはぐれ者達が多く乗り込んでいるが、一見したところダメダメな人間が実は優しさを持ち合わせた人間だったり、その逆パターンだったり、また各々が色々と事情を抱えていたりで、そんなキャラクター設定が人間ドラマとして非常に奥の深い作品として役割を果たしている。
 そういえば、グレタ・ガルボ主演のグランド・ホテルという名作があったが、それぞれの人間模様を描いているという点で実は両作品は非常に似ている作品。優雅なホテルと狭苦しい駅馬車の中という違いが目立ち過ぎて今まで気付かなかったのも無理はないっか?

 
 さて最大の見所のアパッチの襲撃シーンだが、今ではありえないスタントシーンを我々は目にすることができる。今の時代なら飛んでいる飛行機から飛行機へ飛び移るシーンなんかは特撮を使って簡単に出来てしまうが、1939年の公開される映画では大した特撮なんか使えない。本作では走っている馬から馬へ飛び移るシーンがあり、続けて撃たれて落馬し、その上を馬が走り、さらに馬車が通過するというスタントシーンが見れる。その後にスタントマンが立ち上がるシーンまで撮られているから、あれは本物の人間だ。あんなシーンを再度チャレンジしたら今度こそ命は無いだろう。

 他にも色々なシーンが印象的だが、大平原を走る駅馬車を俯瞰的に撮ったショットから一瞬にしてアパッチ族をアップで撮るシーンがあるが、あれは怖い。これから起こることの前触れのシーンとして恐怖を増長させる。社会の底辺に陥った者同士の恋愛、リンゴ・キッドが決闘のために3発の銃弾を残していたり、危険な道中で赤ん坊が生まれたり、駅馬車に乗っていた乗客の人間性とそれぞれの運命、そして2人の女性の信念の強さと勇気。そしてモノクロ映画なのにモニュメントバレーの美しさを感じることができる。
 西部劇と言えばなんだか男性が見るための映画という印象があるが、むしろ本作は心優しい女性にこそ見て欲しい。ヒューマニズムとアクションが見事に融合した名作駅馬車を今回はお勧め映画として挙げておこう

駅馬車 [DVD]
ジョン・ウェイン,クレア・トレヴァ
ファーストトレーディング


 監督は映画史に名を遺す大巨匠ジョン・フォード。豪快な作品のイメージがあるようだが、実は詩情豊かな作品を撮ることに長けている。主に西部劇で有名だが、個人的にはヒューマニズム的な作品に惹かれる。ジョン・スタインベック原作、ヘンリー・フォンダ主演の怒りの葡萄、自然豊かなアイルランドを舞台にし、野を超え、山を越え、川を越えて殴り合いが続く本作と同じくジョン・ウェイン主演の静かなる男がお勧めです。

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