肉体の・・・というタイトル名から想像できるように、エロエロのアダルト映画、と言うのは嘘。フランス人作家レイモン・ラディゲの同名タイトル小説の映画化。簡単に言ってしまえば、男子高校生と10歳以上も年上の軍人の人妻の不倫映画。今となればストーリー性に大して意外性があるとも思えず、ありふれた不倫映画のように思える。しかし、原作者であるレイモン・ラディゲは20歳で夭折し、しかも本作の小説が17歳の時に書かれた処女小説だったと知ると、そのみずみずしい感性には驚き、スキャンダルなストーリー展開は恐ろしさを知らない若さを感じさせる。
それでは早速だが不倫映画のストーリー紹介を簡単に。
第一次戦争末期において、パリ近郊のリセの高校に通うフランソワ(ジェラール・フィリップ)は、学校内に建てられた臨時病院に看護婦助手としてやってきたマルト(ミシュリーヌ・プレール )に一目惚れ。フランソワはマルトをナンパしようとするのだが、マルトには現在のところ戦地へ出征しているラコンブ(ジャン・ララ)という婚約者がいた。そんなことでは諦めがつかないフランソワはマルトに情熱的にアタックし、デートに引きずり出そうとする。
マルトもフランソワの行動は非常にはた迷惑に感じながらも、次第にフランソワの情熱と若さに惹かれてしまい約束のデート場所まで行くのだが、マルトの母親の妨害、そしてフランソワも実ってはいけない恋だと理解して、デートの待合場所へ向かうのを止めて、彼女を忘れるために田舎へ逃避する。
さて、半年後偶然にもフランソワとマルトは出会ってしまう。マルトは今ではラコンブ(ジャン・ララ)と結婚していた。それでも2人はラコンブが出征していて帰ってこないことを良い事にして、マルトの部屋で愛し合う。その恋愛も第一次世界大戦が終了するまでの期間限定だとお互いに覚悟するのだが、あろうことにマルトは妊娠してしまい・・・
フランソワ(ジェラール・フィリップ)とマルト(ミシュリーヌ・プレール)のラブシーンが非常に美しい。雨に濡れたフランソワを暖かく包み込むマルト、これだから年上の女性って良いんだよ。露骨なラブシーンなんか無くても充分に官能的で愛し合っている2人を描きだしているシーンだ。約束のデートの場所で1人で待っているマルトのシーンも非常に印象的だ。このシーンがあるからこそ2人の恋愛が燃え上がる。
しかし、観終えた後に17歳の男って頼りないことがわかる。恋愛には周囲に状況に臆することなく立ち向かって行くのに、肝心なところでひ弱さをだしてしまう。そして、そんなときに貴重な役割をしているのがフランソワの父親。この父親が本当に立派だ。馬鹿息子のフランソワに対して、『困ったことがあれば相談しろよ』とアドバイスしたり、『マルトは本当はお前を愛しているんだろ』なんて言ってマルトとの恋愛を叶えさせようとしたり。そんなの父親として当たり前のアドバイスだろ!、息子に不倫の恋愛を肯定させてどうする!なんて突っ込みはしてはいけない。自分の子供の責任は父親が取るという古き良き父親像がそこにはある。まあ、そんなことに気付くのは俺を含めてごく一部だけだと思うが。
色々と問題点を挙げれば、ジェラール・フィリップが17歳に見えなかったり、ストーリー上の設定ではマルトはフランソワよりも10歳以上年上のはずなのに、演じているジェラール・フィリップとミシュリーヌ・プレールが実際には1922年生まれの同い年であったりで、見た目で年の差が全くわからなかった、なんてことがあるので原作を読んでいない人が本作を観る時はチョッとばかりその点で注意が必要だ。
戦争の終わりが恋愛の終りなんて哀しさを感じさせるし、戦争の終わりが希望の始まりにならないラストシーンに淡い理想を抱いている我々の心を打ち砕く。17歳の少年の視点は大人達の厳しい現実の更に上を行く結末を用意していることに誰もが驚くはずだ。
フランス映画に興味がある人、ジェラール・フィリップと聞いて心が踊る人、不倫映画を観るとなぜかドキドキする人、さらにはフランス文学に興味がある人に映画肉体の悪魔はお勧めだ
監督はクロード・オータン=ララ。フランス文学の映画化作品を撮っていることが多いですが、本作と同じくジェラール・フィリップ主演の赤と黒がお勧めです。
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それでは早速だが不倫映画のストーリー紹介を簡単に。
第一次戦争末期において、パリ近郊のリセの高校に通うフランソワ(ジェラール・フィリップ)は、学校内に建てられた臨時病院に看護婦助手としてやってきたマルト(ミシュリーヌ・プレール )に一目惚れ。フランソワはマルトをナンパしようとするのだが、マルトには現在のところ戦地へ出征しているラコンブ(ジャン・ララ)という婚約者がいた。そんなことでは諦めがつかないフランソワはマルトに情熱的にアタックし、デートに引きずり出そうとする。
マルトもフランソワの行動は非常にはた迷惑に感じながらも、次第にフランソワの情熱と若さに惹かれてしまい約束のデート場所まで行くのだが、マルトの母親の妨害、そしてフランソワも実ってはいけない恋だと理解して、デートの待合場所へ向かうのを止めて、彼女を忘れるために田舎へ逃避する。
さて、半年後偶然にもフランソワとマルトは出会ってしまう。マルトは今ではラコンブ(ジャン・ララ)と結婚していた。それでも2人はラコンブが出征していて帰ってこないことを良い事にして、マルトの部屋で愛し合う。その恋愛も第一次世界大戦が終了するまでの期間限定だとお互いに覚悟するのだが、あろうことにマルトは妊娠してしまい・・・
フランソワ(ジェラール・フィリップ)とマルト(ミシュリーヌ・プレール)のラブシーンが非常に美しい。雨に濡れたフランソワを暖かく包み込むマルト、これだから年上の女性って良いんだよ。露骨なラブシーンなんか無くても充分に官能的で愛し合っている2人を描きだしているシーンだ。約束のデートの場所で1人で待っているマルトのシーンも非常に印象的だ。このシーンがあるからこそ2人の恋愛が燃え上がる。
しかし、観終えた後に17歳の男って頼りないことがわかる。恋愛には周囲に状況に臆することなく立ち向かって行くのに、肝心なところでひ弱さをだしてしまう。そして、そんなときに貴重な役割をしているのがフランソワの父親。この父親が本当に立派だ。馬鹿息子のフランソワに対して、『困ったことがあれば相談しろよ』とアドバイスしたり、『マルトは本当はお前を愛しているんだろ』なんて言ってマルトとの恋愛を叶えさせようとしたり。そんなの父親として当たり前のアドバイスだろ!、息子に不倫の恋愛を肯定させてどうする!なんて突っ込みはしてはいけない。自分の子供の責任は父親が取るという古き良き父親像がそこにはある。まあ、そんなことに気付くのは俺を含めてごく一部だけだと思うが。
色々と問題点を挙げれば、ジェラール・フィリップが17歳に見えなかったり、ストーリー上の設定ではマルトはフランソワよりも10歳以上年上のはずなのに、演じているジェラール・フィリップとミシュリーヌ・プレールが実際には1922年生まれの同い年であったりで、見た目で年の差が全くわからなかった、なんてことがあるので原作を読んでいない人が本作を観る時はチョッとばかりその点で注意が必要だ。
戦争の終わりが恋愛の終りなんて哀しさを感じさせるし、戦争の終わりが希望の始まりにならないラストシーンに淡い理想を抱いている我々の心を打ち砕く。17歳の少年の視点は大人達の厳しい現実の更に上を行く結末を用意していることに誰もが驚くはずだ。
フランス映画に興味がある人、ジェラール・フィリップと聞いて心が踊る人、不倫映画を観るとなぜかドキドキする人、さらにはフランス文学に興味がある人に映画肉体の悪魔はお勧めだ
肉体の悪魔 [DVD] | |
ミシェル・ケルベ,ジャン・オーランシュ | |
ジュネス企画 |
監督はクロード・オータン=ララ。フランス文学の映画化作品を撮っていることが多いですが、本作と同じくジェラール・フィリップ主演の赤と黒がお勧めです。
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