褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 うたかたの恋(1936) 実在の事件を題材にしています

2015年08月06日 | 映画(あ行)
 歴史上の大スキャンダルであるオーストリア皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの心中事件(マイヤーリング事件)を題材にした恋愛映画が今回紹介する映画うたかたの恋。何度も映画化の題材として取り上げられ、日本人にも宝塚歌劇団でも上演されていることで知っている人が多いか。実はこの映画はけっこう最近に観たのだが、新聞を読んでいたら驚いた。なんとマリー・ヴェッツェラが母親に宛てた遺書が見つかったという。実際に映画の中でも遺書らしき物が手渡されるシーンが登場する。
 さて、この皇太子ルドルフだが日本人が思っている皇太子像とはエラク異なり、なかなかユニークな皇子様だ。俺から見れば何の不満があるのかわからないのだが、宮廷の優雅な生活を嫌い、学生の社会運動に参加したり、リベラル系の新聞の社長とお友達になったりと、なかなかの変わり者だ。
 俺なんかは日本の皇室の方々は日頃のストレス解消はどうしているのかと気になっていたのだが、ヨーロッパ全土をほぼ支配した名門ハプスブルク家のお坊ちゃんともなれば、そのストレス解消方法は凄いというか案外俺と変わらない。こっそりと外へ出かけて酒を飲み、女遊びをしている。そして酔った勢いで持っている拳銃を鏡に向かって乱射。このようなシーンを見ていて、あれほど隆盛を誇っていたハプスブルク家がけっこう早く歴史から消え去ったのも納得できた。
 ちょっと理解し難い行動が多く観ていて興ざめしてしまいそうになったのだが、さすがに同情してしまったのが、皇子様といえども本当の恋愛ができないこと。無理矢理他国のブサイクな皇女と結婚させられるシーンを見ていたらちょっと可哀相。実はこの映画の主なテーマはロミオとジュリエットでも描かれているような、障害があればあるほど燃える恋愛模様。
 ちなみにルドルフは30歳、マリー・ヴェッツェラは17歳。決してひと回り以上の年齢の差が障害になっているわけではない。19世紀後半におけるヨーロッパ社会の風習、政治、宗教が2人の恋愛の前に立ち塞がっていることに悲劇を感じつつも、心中という結果に、『あ~、これで良かったんだ』と思わせる。

 さて、謎多きマイヤーリング事件だが遺書が見つかったことに今後の新たな展開に興味が惹かれる人も多いはず?それでは簡単にストーリーの紹介を。
 ルドルフ(シャルル・ボワイエ)はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの跡継ぎと期待されながらも、あろうことか当の本人は社会運動にのめり込み、皇太子とは思えないような行動を繰り返す。国のためを考える父フランツ・ヨーゼフや宰相ターフェの策略もあり、ルドルフは他国の皇女と結婚を無理強いさせられる。国家のために犠牲を強いられたルドルフは他の女や酒にはけ口を求めるようになってしまう。
 ある日のこと、遊園地をぶらりと訪れていたルドルフはマリー・ヴェッツェラ(ダニエル・ダリュー)と出会い、お互いに心を惹かれるようになり、それ以来何度もコッソリと会っていたのだが、やがてそのことは父フランツ・ヨーゼフや宰相ターフェの知ることになってしまい・・・

 マリー・ヴェッツェラを演じるダニエル・ダリューが神秘的な美しさを表現し、シャルル・ボワイエならずとも多くの男性が彼女の純真な瞳に吸い込まれそうになる。それにしてもマリーという女性は17歳にしては、しっかりしているし、皇太子の方がけっこうなダメダメに見えてしまうのが今から思えば笑える。
 フランス映画らしく舞台のバレーやダンスシーンなど非常に芸術的センスが溢れている映画。1930年代のフランス映画って芸術を描きながら、同時に心に沁みるような場面を用意しているから素敵。本当にフランス映画全盛の1930年代の作品って俺の感性を磨いてくれる。
 1930年代のフランス映画が好きな人、マイヤーリング事件に興味があるレアな人、大ヒット映画タイタニックのような大きな障害があればあるほど燃える恋愛映画が観たい人、俺と同じように新聞の小さいページから偶然見つけた人等に映画うたかたの恋はお勧めしたい

うたかたの恋 [DVD]
シャルル・ボワイエ,ダニエル・ダリュー,ジャン・ドビュクール,マルト・レニエ
ジュネス企画


 マリー・ヴェッツェラを演じているのがダニエル・ダリュー。フランス映画黄金時代を代表する女優であり、今もご存命中であり、まさに生けるレジェンド。彼女のお勧めはジェラール・フィリップ共演の赤と黒を挙げておきます。

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