褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 真夜中のカーボーイ(1969) これがニューヨークです

2015年05月22日 | 映画(ま行)
 まあ俺なんかは昔から都会に憧れて、東京でバリバリ仕事をこなし、またはアメリカンドリームという言葉に憧れてニューヨークで国際ビジネスマンとして世界を相手に戦ってやる、なんてことを思ったりしていた。しかし、結論から言うと自虐的になってしまうが俺ってやっぱり所詮は田舎者で成金になりたいだけ。そんなことをハッキリわからせてくれた映画が今回紹介するアメリカン・ニューシネマの傑作として誉れ高い映画真夜中のカーボーイだ。
 俺の中では、ニューヨークと言えばウォール街、5番街、億ション、ヤンキース・スタジアム等、ひたすら華やかなイメージがあったのだが、実はそんなものはメイクアップされたニューヨークで、勝ち組みに属する富裕層なんて、たかがしれている。むしろ夢破れてドブネズミのごとく暮らしている極貧困層に属している人間の方が圧倒的多数で、そちらの方が素顔のニューヨークと言えるだろう。

 自分はイケてると思っている馬鹿男が俺の周囲にはたくさん居るが、そんな根拠無き自信に満ち溢れた野朗どもに鉄拳を食らわせるかのように感じるストーリーとは如何なるものか。
 俺ってセックスアピールが有るんだ、と思い込んでいるジョー(ジョン・ヴォイト)はテキサスからカウボーイ姿の出で立ちでニューヨークにやって来た。ジョー(ジョン・ヴォイト)はニューヨークのマダムたちとセックスをして金を儲けようと企むが、ところが最初にナンパして相手にした女性は娼婦上がりで、逆に金を分捕られてしまう。
 そんな折に、ジョー(ジョン・ヴォイト)はラッツォ(ダスティン・ホフマン)という足を引きずっている小男と出会う。ラッツォ(ダスティン・ホフマン)は売春の斡旋人であり、俺と手を組めば女なんかいくらでも紹介してやると言われ、すっかりその気になったジョー(ジョン・ヴォイト)だったが、実はラッツォ(ダスティン・ホフマン)は小汚い詐欺師。
 騙されたことに腹を立てたジョー(ジョン・ヴォイト)は、ニューヨーク中を駆けずり回りラッツォ(ダスティン・ホフマン)を探し出すのだが、既にラッツォ(ダスティン・ホフマン)の手元にはカネが無い。しかも哀れな姿にジョー(ジョン・ヴォイト)はラッツォ(ダスティン・ホフマン)を殴る気力も失せてしまった。
 それ以来、2人は奇妙な友情で結ばれ、ラッツォ(ダスティン・ホフマン)が住んでいた廃墟同然のビルで共同生活を始めることになるのだが・・・

 いくら人種のルツボであるニューヨークでも、あの大都会においてカウボーイ姿の格好はさすがにダサい。ところが当の本人はカウボーイ姿はイケてると思っているのが、けっこう笑える。昔の事だが、俺も侍の格好をして外国に行けば、人気者になれるかな?と思ったが、本当に止めておいて良かった。
 だいたい昔のハリウッド映画といえば、ノーテンキでハッピーな作品が多いが、全ての人がハッピーになれるような世界など無い。勝ち組みが居れば、当然負け組みも出てくる。本作において、負け組みに陥った2人が、極貧生活から抜け出ようともモガキ続ける姿を見て、あ~アメリカ人じゃなくて良かったと思えると同時に、ひたすら夢を諦めようとしない行動力、精神力は見習うべき点が多々ある。まあ~、生きぬく為に盗みをすることが良い事とは思わないが。
 心情風景を表わす映像は今見ても斬新だし、主題歌はなんだか心地良いカントリーミュージックなのが良いし、それでいて娼婦、レイプ、ゲイ、盗み、カネ等といったモラル崩壊の数々のシーンは刺激的であり、この映画が製作されたのが1960年代後半であり、当時のアメリカ情勢を考えると色々と想像をめぐらしてしまう。
 身も心もすっかりボロボロになってしまった2人の男がたどり着いた場所は一体何を表わすのか?この世の中で最も大切な事は決して富や名誉では無いことを死ぬ瞬間になってやっと気付く人もいるが、本作を見ればそのことに今すぐ気付ける非常に有り難い映画。
 今や日本は若者の都会流出による一極集中ですっかり地方は疲弊してしまった。そして世界のモラル低下を及ぼしている拝金主義は今の日本にも蔓延っている。ちょっと古いアメリカ映画ではあるが、さすがは名作と呼ばれるだけに本作が問いかける普遍性は今の日本人にも通じる。これからの日本を背負っていく若者はもちろんだが、既に観たことがあるという年配の方々も再度観ると新しいことを発見できる。と言うことで今回は映画真夜中のカーボーイをお勧めの映画として紹介しておこう

真夜中のカーボーイ [DVD]
ダスティン・ホフマン,ジョン・ボイト
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


真夜中のカーボーイ [Blu-ray]
ダスティン・ホフマン,ジョン・ボイト
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はイギリス人であるジョン・シュレンジャー。彼の他のお勧め映画として本作と同じくダスティン・ホフマン主演のマラソンマンがお勧めです。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ
     
 人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします





 
 

 
 
 
 
 

 

 
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする