褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 アモーレス・ペロス(2000) 犬好きにはお勧めです

2015年05月04日 | 映画(あ行)
 先日バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)でアカデミー賞、作品賞、監督を受賞するなど、今や名匠の地位を得た感があるメキシコ人監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。なんとも長ったらしい名前だが、まだ若くて、才能に溢れた監督なだけに覚えておいて損はないだろう。
 さて、彼の監督デビュー作にして、非常に凝った構成が観る者をうならせる作品が今回紹介する映画アモーレス・ペロス。タイトルの意味はスペイン語で『犬のような愛』。タイトルから想像できるように犬好きにはぜひお勧めしたい映画だ。
 だいたい犬をテーマにした映画といえば、犬と飼い主の固い絆を描いた作品が多い。そのようなテーマは本作においても見られるが、他の動物(犬)映画よりも突出している点は多くの犬が登場し、しかも見ていて卒倒しそうなぐらい、たくさんの犬が死んでしまうこと。また、その犬の死に方がけっこう悲惨だったりする。一匹の犬が寿命で死ぬだけでも涙が出そうなぐらい感動するのだから、本作の感動度は凄いものがある?

 実は本作は3つのストーリーで構成されていて、時間軸が同時進行で進む。その3つのストーリーが交差するある出来事の前後を描くことによって、それぞれに登場する人間たちが過酷な運命に導かれ、それぞれのストーリーで犬が非常に重要な役割を果たす。それではできるだけ簡単に3つのストーリーを紹介しよう。

 2人の若者が車で暴走中。後部座席には血まみれで瀕死状態の犬を乗せている。後ろから追いかけてくる車からはピストルで撃ってくる。追いかけてくる車を振り切ったかと思われた瞬間に交差点で別の車に激突。その現場に居合わせた3人に迫る過酷な運命とは?

 貧民街で暮らすオクタヴィオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、暴力的で怠惰な兄ラミロ(マルコ・ペレス)の嫁であるスサナ(バネッサ・バウチェ)を密かに愛している。スサナ(バウチェ)にはラミロ(ペレス)との間にまだ幼い息子が居り、今も妊娠している。オクタヴィオ(ベルナル)はスサナ(バウチェ)と新天地で新しい生活を始めるために、自分が飼っている犬を闘犬場に送り出し大儲けするが・・・。

 スペインからメキシコにやって来たバレリア(ゴヤ・トレド)はモデルとして大成功。しかも広告デザイナーであるダニエル(アルバロ・ゲレロ)からの不倫の愛を勝ち取り、新しいマンションで2人の生活が始まるはずだった。しかし、バレリヤ(トレド)は自動車事故に遭ってしまい、命は助かったものの自宅での療養生活を強いられる。
 しかし、その事故のせいでバレリヤ(トレド)は仕事の契約を打ち切られてしまい、ダニエル(ゲレロ)とも口喧嘩が絶えなくなってしまう。しかも脚の怪我が悪化してしまい・・・。

 かつては大学の教授であったチーヴォ(エミリオ・エチェヴァリア)だったが反政府活動にのめり込み過ぎて、今はすっかり殺し屋に落ちぶれてしまい、廃墟のような所でたくさんの犬に囲まれて暮らしている。彼には妻と娘のマル(ルルデス・エチェヴァリア)が居るのだが、家族を捨てて反政府活動に飛び込んだために、彼はマル(ルルデス・エチェヴァリア)と堂々と会うことは出来ず、しかも彼は死んでしまったことになっていた。
 そんなチーヴォ(エチェヴァリア)の元に殺しの依頼が入ってきて、彼は殺す相手の後を何日も追いかけるが、その過程で自動車事故の現場を見てしまい・・・。

 第1話のオクタヴィオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は絶望的な愛を求め過ぎて何もかも無くしてしまい、第2話のバレリア(ゴヤ・トレド)は類希なる美貌を持ち、栄光の絶頂を極めながらも、偽りの幸せは彼女を一気に転落させ、第3話のチーヴォ(エミリオ・エチェヴァリア)は理想の社会の実現のために本当に大切な物を無くしてしまう。
 彼等の行動は決して褒められないが、自然と沸き起こってくる自らの欲望、欲求、理想に従ったまでのことであり、訪れる過酷な運命は非情すぎるように思える。しかし、当たり前のことだが、人間はどれだけボロボロになっても人生は続いて行くということが、本作を観ればよくわかる。
 彼等の今後を考えると絶望的状況しか待っていないような気がするが、それでもほんの少しの希望が感じられることがせめてもの救い。人間はなぜ犬が好きなのか?それは決して犬から何かの見返りを求めているわけでは無い。そこには無償の愛が存在する。考えてみれば人間同士においても、親子関係、恋人関係等には無償の愛が横たわっている。だからこそ我々は絶望しそうになっても、希望を失わないで生きていけるのだ。
 観終わった後に余韻が欲しい人、犬が好きな人、ハッピーすぎる結末の映画に飽きた人には映画アモーレス・ペロスはお勧めしたい。そして犬を飼っている人が本作を観れば、きっと我が愛犬を抱きしめたくなるはずだ

アモーレス・ペロス スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
ガエル・ガルシア・ベルナル,エミリオ・エチュバリア,ゴヤ・トレド,アルバロ・ゲレロ,バネッサ・バウチェ
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 監督は前述したようにメキシコの俊英アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。彼のお勧めは父子の固い結束を描いたBIUTIFUL  ビューティフル、命の尊さを感じる21グラム、日本人なら観ておきたいバベルがお勧めです

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