映画の常識として必ずしも名作イコール面白いとは限らないということが挙げられる。俺もこれは名作だと聞いてワクワクしながら観たものの、あまりにものつまらなさにショックを受けて、立ち上がれない事がよくあった。しかし、今回紹介する道は名作と呼ばれることに誰もが納得し、自分の人生を登場人物に重ね合わせることができる傑作だ。
実はこの映画は5、6回ぐらいは観ているのだが、何だか観るたびに印象が変わる。絶望的に感じる時もあれば、意外に楽しいじゃんと思ったり、どうしてこうなるの?と思ったり。やっぱり名作と呼ばれる映画は、これぐらい奥が深くないといけない。ちなみに今回観て感じたことは、大いなる人生賛歌の映画のように思えた。確かにラストはハッピーエンドとは言えないが、人生に絶望している人が観ると、私だってこの世の中の役に立っているんだと思えるシーンや台詞がたくさん連発する
そして何と言っても、バンクーバー五輪のスケートでも高橋大輔選手が起用した音楽が、とにかく名曲過ぎる。ゴッド・ファーザー、太陽がいっぱい等の映画音楽の巨匠として知られるニーノ・ロータの最高傑作だと個人的には思っている。本当に心に染みるし、一人でボッ~としていると勝手に心の中で流れてくる音楽だ。
さて、きっと誰もがこの映画は本当に名作だ、と思えるストーリーとは如何なるものか?
ぼろいオートバイで旅回りをしている大道芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)は、安いお金で助手として、少々頭は弱いが純粋な心を持ったジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を雇う。
しかし、ザンパノ(クイン)は粗野で横暴な上に、ジェルソミーナ(マシーナ)はまるでザンパノ(クイン)のストレス解消の道具のような扱い。たまらずにジェルソミーナ(マシーナ)は逃げ出すのだが、捕まっては酷い仕打ちを受けてしまう。
ザンパノ(クイン)とジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(リチャード・ベイスハート)と呼ばれるチョット口数の多い陽気な綱渡り芸人のいるサーカス団と合流する。ジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(ベイスハート)と親しく話したり、彼の弾くバイオリンの音楽(この音楽が良い!)に心が惹かれたりするのだが、ザンパノ(クイン)とキ印(ベイスハート)の折り合いは悪く、2人は警察沙汰の事件を起こしてしまう。
サーカス団は去っていき、ザンパノ(クイン)が刑務所の中にいる間、キ印(ベイスハート)はジェルソミーナ(マシーナ)に素晴らしいアドバイスをして去っていき、ジェルソミーナ(マシーナ)はザンパノ(クイン)が刑務所から出てくるのを一人で待ち続けるのだが・・・ここから先は感動的なシーンが連発だ
キ印(リチャード・ベイスハート)が、何の取り得も無いどころか自分の人生に絶望しているジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)に語る台詞には涙が出る。キ印(ベイスハート)が石ころを取り出して『こんな石ころでも、たぶん何かの役にたっているんだよ』。ひたすら軽くて、ノーテンキそうなお前が言うな!とツッコミを入れたくなるが、こんな軽い奴が言うからこそ逆にたまらない。だからこそジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)みたいな、純真な人間には心に響くのだ。そしてその台詞は、多くの人生に絶望している人、自分の存在意義がまるでわからなくて悩んでいる人には勇気を与えてくれるはずだ。
しかし、この映画はそんな素晴らしい台詞が出てきてからも、その後の展開も辛辣だ。再び笑顔と生きる希望を見出したジェルソミーナ(マシーナ)のその後にたどる運命は悲しく、そしてひたすら横暴だったザンパノ(アンソニー・クイン)が最後にやっと人間らしさを取り戻すが、その後の彼の人生を想像すると、ひたすら棘の道を歩くのみ。生きて罪を背負う人生を想像させる。
しかし、この映画には人間愛が詰まっている。ジェルソミーナ(マシーナ)が時々見せる笑顔、そして楽しい動き、彼女の純真さに感動し、大きな罪を犯してしまったザンパノ(クイン)に対してはペナルティを与えられながらも、人間らしさを取り戻せた。
絶望的なぐらい真っ暗な中に、ほんの僅かな小さな光が輝いている映画、ちなみに俺もこの映画を観るたびに生きる気力がフツフツと湧いてくるし、何の取り得も無い俺でも、きっと役に立っているんだと気持ちが前向きになれる。最近はショックなことが多すぎて立ち直ることが出来ない人には是非お勧めしたい映画。もちろん未だ本作を観たことが無い人にもお勧めです
監督はイタリアが生んだ世界映画史に名を残す巨匠中の巨匠フェデリコ・フェリーニ。個人的には初期の作品に感動する映画が多いし、俺の好みの映画が多い。苦しみ、もがきながらもダラダラした時を過ごしている大人達を描いた青春群像、こんな純粋な心を持った女性が居るのか、と思わせるカビリアの夜、イカサマ宗教家を描いた崖、そして我々日本人が大好きなローマを舞台に自暴自棄な人生に身を費やすマルチェロ・マストロヤンニ主演の甘い生活がお勧め。
主演のザンパノはアメリカの俳優アンソニー・クインが演じています。この人の他の有名作はデヴィッド・リーン監督のアラビアのロレンスが有名でお勧め。他にあんまり有名では無いですが、ヘンリー・フォンダ、リチャード・ウィドマークと競演している西部劇ワーロックは、なかなか現代のアメリカの問題を考えさせられる作品でお勧め。
ジェルソミーナを演じるのがフェリーニ監督の実際の奥さんでもあったジュリエッタ・マシーナ。本作品でも彼女は奇跡的な名演技を披露しています。同じくフェリーニ監督のカビリアの夜がフェリーニ監督のところでも述べましたが、やっぱりお勧め。
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実はこの映画は5、6回ぐらいは観ているのだが、何だか観るたびに印象が変わる。絶望的に感じる時もあれば、意外に楽しいじゃんと思ったり、どうしてこうなるの?と思ったり。やっぱり名作と呼ばれる映画は、これぐらい奥が深くないといけない。ちなみに今回観て感じたことは、大いなる人生賛歌の映画のように思えた。確かにラストはハッピーエンドとは言えないが、人生に絶望している人が観ると、私だってこの世の中の役に立っているんだと思えるシーンや台詞がたくさん連発する
そして何と言っても、バンクーバー五輪のスケートでも高橋大輔選手が起用した音楽が、とにかく名曲過ぎる。ゴッド・ファーザー、太陽がいっぱい等の映画音楽の巨匠として知られるニーノ・ロータの最高傑作だと個人的には思っている。本当に心に染みるし、一人でボッ~としていると勝手に心の中で流れてくる音楽だ。
さて、きっと誰もがこの映画は本当に名作だ、と思えるストーリーとは如何なるものか?
ぼろいオートバイで旅回りをしている大道芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)は、安いお金で助手として、少々頭は弱いが純粋な心を持ったジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を雇う。
しかし、ザンパノ(クイン)は粗野で横暴な上に、ジェルソミーナ(マシーナ)はまるでザンパノ(クイン)のストレス解消の道具のような扱い。たまらずにジェルソミーナ(マシーナ)は逃げ出すのだが、捕まっては酷い仕打ちを受けてしまう。
ザンパノ(クイン)とジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(リチャード・ベイスハート)と呼ばれるチョット口数の多い陽気な綱渡り芸人のいるサーカス団と合流する。ジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(ベイスハート)と親しく話したり、彼の弾くバイオリンの音楽(この音楽が良い!)に心が惹かれたりするのだが、ザンパノ(クイン)とキ印(ベイスハート)の折り合いは悪く、2人は警察沙汰の事件を起こしてしまう。
サーカス団は去っていき、ザンパノ(クイン)が刑務所の中にいる間、キ印(ベイスハート)はジェルソミーナ(マシーナ)に素晴らしいアドバイスをして去っていき、ジェルソミーナ(マシーナ)はザンパノ(クイン)が刑務所から出てくるのを一人で待ち続けるのだが・・・ここから先は感動的なシーンが連発だ
キ印(リチャード・ベイスハート)が、何の取り得も無いどころか自分の人生に絶望しているジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)に語る台詞には涙が出る。キ印(ベイスハート)が石ころを取り出して『こんな石ころでも、たぶん何かの役にたっているんだよ』。ひたすら軽くて、ノーテンキそうなお前が言うな!とツッコミを入れたくなるが、こんな軽い奴が言うからこそ逆にたまらない。だからこそジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)みたいな、純真な人間には心に響くのだ。そしてその台詞は、多くの人生に絶望している人、自分の存在意義がまるでわからなくて悩んでいる人には勇気を与えてくれるはずだ。
しかし、この映画はそんな素晴らしい台詞が出てきてからも、その後の展開も辛辣だ。再び笑顔と生きる希望を見出したジェルソミーナ(マシーナ)のその後にたどる運命は悲しく、そしてひたすら横暴だったザンパノ(アンソニー・クイン)が最後にやっと人間らしさを取り戻すが、その後の彼の人生を想像すると、ひたすら棘の道を歩くのみ。生きて罪を背負う人生を想像させる。
しかし、この映画には人間愛が詰まっている。ジェルソミーナ(マシーナ)が時々見せる笑顔、そして楽しい動き、彼女の純真さに感動し、大きな罪を犯してしまったザンパノ(クイン)に対してはペナルティを与えられながらも、人間らしさを取り戻せた。
絶望的なぐらい真っ暗な中に、ほんの僅かな小さな光が輝いている映画、ちなみに俺もこの映画を観るたびに生きる気力がフツフツと湧いてくるし、何の取り得も無い俺でも、きっと役に立っているんだと気持ちが前向きになれる。最近はショックなことが多すぎて立ち直ることが出来ない人には是非お勧めしたい映画。もちろん未だ本作を観たことが無い人にもお勧めです
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ジュリエッタ・マシーナ,アンソニー・クイン,リチャード・ベースハート,アルド・シルヴァーナ | |
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監督はイタリアが生んだ世界映画史に名を残す巨匠中の巨匠フェデリコ・フェリーニ。個人的には初期の作品に感動する映画が多いし、俺の好みの映画が多い。苦しみ、もがきながらもダラダラした時を過ごしている大人達を描いた青春群像、こんな純粋な心を持った女性が居るのか、と思わせるカビリアの夜、イカサマ宗教家を描いた崖、そして我々日本人が大好きなローマを舞台に自暴自棄な人生に身を費やすマルチェロ・マストロヤンニ主演の甘い生活がお勧め。
主演のザンパノはアメリカの俳優アンソニー・クインが演じています。この人の他の有名作はデヴィッド・リーン監督のアラビアのロレンスが有名でお勧め。他にあんまり有名では無いですが、ヘンリー・フォンダ、リチャード・ウィドマークと競演している西部劇ワーロックは、なかなか現代のアメリカの問題を考えさせられる作品でお勧め。
ジェルソミーナを演じるのがフェリーニ監督の実際の奥さんでもあったジュリエッタ・マシーナ。本作品でも彼女は奇跡的な名演技を披露しています。同じくフェリーニ監督のカビリアの夜がフェリーニ監督のところでも述べましたが、やっぱりお勧め。
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