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あるときはくそ真面目な映画を撮り、そして観ている側に挑発的な映画を撮り続けたルイス・ブニュエル監督は、名監督と呼ばれる中において彼の存在感は巨匠たちのなかでも、ひと際ユニークさが強調される監督であるのは間違いない
アンダルシアの犬でシュールリアリズムの巨匠と呼ばれるが、彼ほど作品の幅が広い人間はいないだろう
ジェラール・フィリップ主演の彼の遺作としても知られる熱狂はエルパオに達すでは、政治と恋愛を絡めた普通の映画だったが、忘れられた人々でメキシコの貧民街に生きる青年たちを描いた社会派映画を撮るかと思えば、ブルジョワ階級が集まったパーティーにおいて、パーティーが終わった後も誰一人何故か帰ることが出来ずに、そうしている間に体調を悪くして死んでしまう人が出たり、究極の空腹においてその屋敷で飼っていた羊を食べてしまったりする、まさに召し使い、部下が居ないと何も出来ないかのようなブルジョワ達を皮肉った不条理映画の傑作皆殺しの天使
他にもブルジョワたちの食にありつこうと思うと、その瞬間にあり得ないことが起こり、なかなか食にありつけない、ブルジョワ達の豪華な食事、そしてキリスト教の神父を批判するようなシーンを入れた食欲を題材にしたコメディであるブルジョワジーの密かな愉しみ、そしてスペインにおいてナポレオンが進軍した時代に処刑されそうな兵士がいきなり自由なんか、くたばれという台詞から始まり、現代の盛んに叫ばれる自由と言う意味を問いかけるかの如く、世の中規律が無かったら、どのような世界が出来上がるかを”自由な発想”が展開する自由の幻想など彼の映画は本当に一筋縄ではいかない、宗教批判、強烈なブラックユーモア、ブルジョワ批判、エロ、不条理と言った非常にスキャンダラスな内容の映画を撮り続けた彼の遺作が今回紹介したい欲望のあいまいな対象である。
しかしブルジョワジーの密かな愉しみがブルジョワ達の食欲を批判した映画ならば、今回紹介する欲望のあいまいな対象は、男にとってどうしようもない性欲を笑えるシーンを盛り込んだ作品
そしてこの映画を観て驚くのが、”一人二役”と言うのはよくある設定だが、なんとこの映画では二人一役という未だにこの映画でしか観られないようなことを用いて、観ている側を混乱に陥れようとする悪意といったものをこの映画のブニュエル監督から感じる
この映画を撮ったときには既に彼は77歳の高齢に達していたが、性欲に対するエネルギーが衰えていない事を知らしめた欲望のあいまいな対象を紹介しよう
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大富豪である老人のマチュー(フェルナンド・レイ)は、スペインのテロ多発区のセビリアからフランスのパリへ行こうと電車に乗り込む
コンパートメント席においてマチュー(レイ)は一組の親子、精神科学者、判事と一緒になる
電車の出発が遅れている間にマチュー(レイ)は駅を歩いている女を見かけ、その女に対してバケツで水をぶっかける
席に戻ってきたマチュー(レイ)に対して、一緒の席にいた人々は彼のその行動に対してどうしてそのような行動をしたのか聞いている
マチュー(レイ)は彼女はとんでもない悪だと言い放ち、その理由を一緒の席の人たちに語る果たしてマチュー(レイ)はどうして女の人に頭からバケツの水を被せる行動に出たのか?
マチュー(レイ)の家に新しく召し使いとしてコンチータ(キャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナの二人一役!)がやって来た
マチュー(レイ)は一目でコンチータ(ブーケ/モリーナ)に惚れこみ、その夜コンチータ(ブーケ/モリーナ)をベットに誘おうとするが、失敗
翌日、コンチータ(ブーケ/モリーナ)は姿を消してしまった
それから数年間、ずっとコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事が頭から離れないマチュー(レイ)だったがパリで偶然にもコンチータ(ブーケ/モリーナ)と再会する
パリでコンチータ(ブーケ/モリーナ)は母親と貧乏暮らしをしたいたのだが、マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親にお金の援助をしていたが、彼の頭はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスすることばかり考えていて、パリに居る間ずっとコンチータ(ブーケ/モリーナ)の家に通い続けるが、なかなかマチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスできない
マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)を自分の家に引き取ろうと、彼女の母親に大金を渡そうとするが、愛をお金で買おうとするマチュー(レイ)の態度に怒ったコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親は姿を消してしまった
レストランでマチュー(レイ)は従兄と高級レストランで一緒に話している会話は相変わらずコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事が忘れられないということ
ところがまた偶然にもレストランで受付をしていたコンチータ(ブーケ/モリーナ)と出会う
しかもマチュー(レイ)は今度こそはコンチータ(ブーケ/モリーナ)を自分の別荘に連れて行き、いよいよコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスできるかと思いきや、コンチータ(ブーケ/モリーナ)は驚いたことに・・・付けていた
必死でコンチータ(ブーケ/モリーナ)が付けていた・・・を引き裂こうとするマチュー(レイ)だったが
ある日コンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親は理由も無いままフランスから国外追放されてしまい、マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事がずっと気になっていたが、またまたマチュー(レイ)は偶然にもセビリアでコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親に出会う
コンチータ(ブーケ/モリーナ)はバーでフラメンゴの踊りをしていたその舞台を見ていたマチュー(レイ)だったが、なんと彼女はマチュー(レイ)が見ている前で若者とセックスを始める
ついにマチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスすることを諦めたそして自分は処女だと言い張るコンチータ(ブーケ/モリーナ)に対して、マチュー(レイ)は殴る蹴るの暴行をする
そんなマチュー(レイ)の話を聞いた同じ乗客の人々は、彼に対して同情するそして、その席に顔面キズだらけのコンチータ(ブーケ/モリーナ)が現れ、マチュー(レイ)に対してバケツに入った水をぶっ掛けるが・・・続きは映画を観てください
今回はセックスばかり書いて記事にするのが恥ずかしいねところでコンチータ役の二人の女優はおとなしい感じのキャロル・ブーケといかにもラテン系の激しい感情を持ったアンヘラ・モリーナの使い分けが、絶妙
エロ親父のフェルナンド・レイも、このような馬鹿馬鹿しい役を真面目に演じているのが非常にコミカル
彼はルイス・ブニュエル作品の常連的存在だけれど、ジーン・ハックマン主演のフレンチ・コネクションの憎たらしい悪役が有名
それにしてもルイス・ブニュエルは本当に意地が悪い監督だ
ストーリー展開だけでなくラストシーンも観客を完全に食ってしまったそれにしてもこの映画が彼の遺作になるとは惜しいね僕も彼の映画を全部観ているわけではないけれど、もっとたくさんルイス・ブニュエル監督の映画を改めて観たいと思ったし、彼の作品に注目すると映画の奥深さを感じると思う
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