畑仕事が忙しくて長く休んでいた散歩、また、腰痛で畑仕事を辞めて時間がたっぷり取れてからも、その腰痛のせいでしばらく休んでいた散歩を半年ほど前から復活し、天気の良い日は1~2時間ほどの散歩をしている。歩く場所は概ね公園。1~2時間の長時間散歩は海浜や山林の広い公園。それより短い散歩は近くの都市公園でやっている。
海浜公園は車で15分ほどの距離にある吉の浦公園、20分ほどの距離にある県立総合運動公園。山林公園は車で15分ほどの距離にある浦添大公園、20分ほどの距離にある末吉公園を利用している。このうち、吉の浦公園は小さいので1時間も歩けないが、それ以外の県立総合運動公園、浦添大公園、末吉公園は広い。1時間はたっぷり歩ける。
家から近く(車で15分以内)に若松公園という中規模の公園があり、そこはサッカー場や遊具施設など運動施設、遊ぶ施設もあるが、元は山林の地だったようでその名残も一部にある。過日、人が足をあまり踏み入れないと思われる名残の一部に分け入った。時は1月、南の島沖縄も冬らしくそれなりに寒い日が続いていた頃、寒いのでハブは冬眠中、なので藪の中も怖くない。その藪の中に洞窟のような所があり、そこにも入った。
そこで、これまで見たことのない植物を見つけた。こういった洞窟様の環境は末吉公園にも浦添大公園にもあるが、そういった個所に何度も踏み入れているのだが、これまでに出会ったことがない。後日調べるとムサシアブミという名、武蔵鐙、何かカッコいい。
ムサシアブミ(武蔵鐙):野草
サトイモ科の多年草 関東以南に分布 方言名:不詳
名前の由来は『琉球弧・野山の花』に「和名は、仏炎苞がむかし武蔵野国で作った馬の鞍の鐙に似ることによる」とあった。ちなみに、仏炎苞(ぶつえんほう)は「肉穂花序を包む大形の苞葉。ミズバショウやテンナンショウなどサトイモ科の苞」のこと。鐙(あぶみ)は「鞍の両わきにさげ、足をかける馬具」のこと。以上の言葉の説明は、いずれもインターネットサイトの「コトバンク」による。
苞とは芽や蕾を包む葉のことを言うが、サトイモ科の植物は仏炎苞と呼び、概ねその苞が目立つ。本種の仏炎苞は照りのある緑紫色をしていてきれい。仏炎苞が見られるのは、具体的には文献になく、「ヒカンザクラの花が見られる頃」とあった。ヒカンザクラの花が見られる頃とは、私の経験では1~2月。
地下に球茎があり、1株からほぼ同じ形同じ大きさの2枚の葉が出、その間から仏炎苞が出る。葉は一見、三出複葉のように見えるが深い切れ込みがあって3枚に見えるとのこと。3つに切れた1枚1枚の小葉は細かな平行脈が目立ち、先端が糸状に長く伸びる。
高さ30~60センチ。石灰岩地域の樹林下に生える。
仏炎苞
記:島乃ガジ丸 2019.3.31 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行