頭の中は魑魅魍魎

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『アックスマンのジャズ』レイ・セレスティン

2016-06-28 | books
実在の未解決事件がもとになっている。1919年、ニューオーリンズを震撼させる事件が続く。斧でずたずたに殺されるのだ。「アックスマン」と名乗る人物から新聞に手紙が届く。次の火曜日にジャズが演奏されている家にいる者は襲わない。それ以外の者は殺される可能性があると予告した。事件を追いかける三者。一人は担当の警部補マイクル・タルボット。昔先輩の刑事を有罪に追い込む証言をしたせいで、警察内でいまだに人望がない。二人目はアイダ・デイヴィス。ピンカートン探偵社の事務員。親友はルイス・アームストロング(有名なジャズコロネット奏者ルイ・アームストロングの若かりし頃がモデル) 彼女は事務員の仕事には不満で、現場に出してもらうために、アックスマン事件を解決しようとしている。三人目はルカ・ダンドレア。マイクルに刑務所送りにされた元刑事。5年ぶりにシャバに戻って来た。アックスマン=イタリアマフィアだと思う人が多く、迷惑しているマフィアから、アックスマン事件の容疑者を探すように命じられた。この三人の捜査がそれぞれにあぶりだす真実は…

最近のポケミスは厚くて高いのが多い。これも477頁、1800円。ポケミスで1800円とは!しかし、それだけのことはあった。

第一次世界大戦が終わったばかり。売春宿は禁止されたばかり、禁酒法がもうすぐ施行される直前。黒人に対する差別はきつい。そしてフランス文化とアメリカ文化が入り混じったニュー・オーリンズという特殊な街。この辺のバックグラウンドがほどよくストーリーの中に入って来て、それがまたいい。

そして本筋。連続殺人の容疑者とその動機。ちょっとずつ明らかになっていく様はスリリング。単なる猟奇殺人ではなかった。

アックスマンのジャズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

今日の一曲

Loui Armstorongで"What A Wonderful World"




では、また。
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