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『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション』

2012-08-23 | books

「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション」文藝春秋社 2004年

以前に読みかけだったので続きを読んだ。

中学生から高校生の頃、それはそれは大量の松本清張を読んだ。ほとんどが古本屋の軒下にさらされた箱に無造作に放置された、3冊100円で売っていたもので。書評など読んだわけがなく、どれが傑作かも知らずただ安く売っているものを読んだ。そういう雑読は、ヒマな中学生だから出来たことで今は時間も気力もそうするには足りない。そしてその時代に雑読出来たことが結果として良かったと思う。

しかしミステリ以外では読み落としが多く、今回収録されている「西郷札」と「ある『小倉日記』伝」に強い印象を受けた。その二つだけ少し紹介させて頂く。

「西郷札」はデビュー作。西南戦争の時に、薩摩が発行した不換紙幣のその後を描く作品で、ドキドキしながら読んでしまった。短編でも長編並みのインパクトがある。

「ある『小倉日記』伝」はなんと芥川賞受賞作。エンターテイメント作家として有名なのに芥川賞をとっていたのか。内容は、障害のある男が、小倉で森鴎外の行方不明になった日記を探すというもの。ラストが何とも言えない。

あらためて、清張のスゴさに打ちのめされる。

上巻と下巻ではGHQ支配下の怪しさを暴露する「日本の黒い霧」と、田中義一の機密費流用事件から二・二六事件までを描く「昭和史発掘」を短く纏めたものが載っている。「帝銀事件の謎」は昔、おぉと唸りながら読んだが「昭和史発掘」はいつか大人になってから読もうと思ってそのまま何年も経過してしてしまった。。

ので、読もうと思う。

では、また。


松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)松本清張傑作短篇コレクション〈中〉 (文春文庫)松本清張傑作短篇コレクション〈下〉 (文春文庫)
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