頭の中は魑魅魍魎

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『三連の殺意』カリン・スローター

2018-05-27 | books
ジョンは、15歳の時にドラッグを摂取し同級生の女性を殺害した罪で刑務所へ。20年後やっと外に出て来た。二度ともどりたくない・・・ジョージア州で、若い女性が連続して殺される事件が起こった。舌が切り取られていた。ウィル・トレントが、派遣されて来た。難読症で善良だが優秀な捜査官。幼馴染のアンジーは風俗課にいる・・・ジョンは金がない。安いテレビを買おうとすると、店員にあなたの信用度は高いので、もっと高級なテレビが買えますと言われる。何者かが、自分の名義でクレジットカードを作り、ちゃんも返済をして信用度を上げているのだ。なぜだ?ジョンの過去、現在、が追いかける事件が交差すると・・・

書評家北上次郎氏が、あちこちで絶賛していたカリン・スローター。気づいたらシリーズ4作目が出ていたり、しかも翻訳のされた順番がめちゃくちゃだったりして、何となく手を出していなかった。

しかし、しかし、面白かった。

単にサイコスリラー的などんでん返しもあるし、それも楽しいのだけれど、ドラッグに溺れてしまう若者、入った刑務所の過酷さ、出た後の生活困窮。しょっちゅう保護観察官がやって来て、部屋の中をチェックされる。ナイフでも見つかろうものなら、刑務所へ逆戻り。

トレントのキャラクターもなかなか。何となく、冷たい出来る男というイメージでいたけれど、全然違った。難読症の苦労やアンジーとの関係など、人物造形が深い。

個人的にはジョンの苦悩が最大の読みどころだった。好物な作家だとよく分かった。(しかし今更だけれど、こういう「頭がかなりおかしい人物が引き起こす+おぞましい殺人事件+どんでん返し」が大好物な奴ってどういう奴なんだろう。いわゆる、ヤバイ奴なんだろうか)

三連の殺意 (マグノリアブックス)

今日の一曲

崎山蒼志で、「samidare~五月雨~」



では、また。
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