「風の歌を聴け」村上春樹 講談社 1979年
デビュー作。やっと読む事ができた。
驚いた。アイワズサプライズドゥ。何に驚いたかって?30年経っても村上春樹の世界には何も変わりがない事に。1Q84の世界観、文体と大きな違いは見られない。いや、むしろ全然違いがない。
突如として鳴る電話。静かに流れるストーリー。鼠というメタファー、相変わらず何がテーマなのか分からない。いや相変わらずというのは読んだこちらの都合だった。出版された順で言えば、1Q84の方が相変わらずだ。
と、世界観や文体は変わらないけれど、変化している点があるとすれば、エンターテイメントとして読みやすくなっている事だ。初期の作品は読みにくい。直木賞系じゃなくて芥川賞系、ノーベル文学賞系なのだから読みにくくて当たり前なのかも知れない。しかし「風の歌を聴け」は1Q84と較べるとずっと読みにくい。
読みにくい、から読みやすいと作品によって変化しているのに、依って立つ軸は全くブレていない。このマイペースな世界が人を惹き付けるのだろう。
先日紀伊国屋書店で80歳ぐらいのおばあさんが1Q84 BOOK3を買っておられた。冥土の土産にでもする・・・いや失礼。超国民的作家である事がよく分かる。
その内、ハルキッスとかハルキッズとかハルキングとかムラカミカミカミとかいうような商品が出てきそうだ。
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