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『逆説の日本史4 中世鳴動編 ケガレの思想と差別の謎』井沢元彦

2015-11-27 | books
第1巻、第2巻、第3巻につづく。

またまた気になった箇所を箇条書きで。

・六歌仙は、歌の優劣で選ばれたものではなく、天皇になれなかった惟喬親王派だった者たちの怨霊を鎮めるために選んだものだった。

・刀伊の入寇(女真族が九州に侵略、藤原隆家が撃退)の際、隆家に何の褒賞も与えなかった。

・古今和歌集の仮名序で紀貫之は「やまとうたは、力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあわれと思わせ」と書いている。歌人が神を動かすということになる。これに関して、ドナルド・キーン氏は「欧米では超自然的存在が、その霊感に動かされた詩人を通して語るのだと信じられて来たことの反対である」としている。歌人が神を動かすのか、神が歌人を動かすのか(なるほど)

・源氏物語は藤原道長の娘彰子付きの女官である紫式部が書いた。どうして藤原氏のライバルの源氏が栄えるという話を書いたのだろうか。それは「顕幽分離主義」で説明できる。

・藤原摂関体制を終わらせたのは後三条天皇。しかし息子の白河天皇は後三条の死後院政を始めてしまう。院政は、藤原氏から権力を奪い、それまで浮かび上がる機会のなかった中級貴族で優秀な人物が登用されること(大江匡房など)になった。しかし超ワンマン体制でもあった。

自分の国の歴史を語れないで何が日本人じゃ!と昔言われたときには日本史にはあまり興味が持てなかった。日本がなんぼのもんじゃい!世界を見んでなにを見んのじゃ!と言い返していた頃、私はまだ若かった。青い果実だった。食べたら苦かった。今は熟しきって食べ頃なんだから。早く食べないと… 俺は誰だ。

逆説の日本史〈4〉中世鳴動編―ケガレ思想と差別の謎 (小学館文庫)

今日の一曲

何も思いつかない。困ったときには懐メロ。Shakatakで"Night Birds"



シャカタクが、「社歌宅」か「釈迦宅」だから日本のバンドだと思っていたのは私だけだろうか。では、また。
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