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科学+小説『あなたの人生の科学』デイヴィッド・ブルックス

2015-12-17 | books
人生に起きる様々な出来事を、小説に加えて科学的な理論によってその登場人物の行動の解説をしていくという本。

子育て、シナプスの形成、学習や集中力、選択、組織、など登場人物の二人が経験することに対して、比較的新しい(もしくは目新しい)理論をたくさん紹介してくれる。ものすごく面白かった。こんな本を待っていた。以下、興味を持った個所を箇条書きで。

・自分にはないものに惹かれると言うけれど、実際には似たカテゴリーにいる人を選ぶことが多い

・理性には限界がある。IQが高くても、脳の感情をつかさどる部分を失うと、ちゃんとした判断ができなくなる。感情がなくなってしまえば人は自滅的な行動をとる

・1歳ぐらいの赤ちゃんが母親に対してどういう種類の愛着を感じるかによって、将来がある程度判断できる(ストレンジ・シチュエーション法) 回避の愛着=のちに独りぼっちになる可能性が高い

・パズルが解けないときに親に冷たく笑われた子供は自分が親になったときに同じ行動をとる

・先生を尊敬するということがなぜ教えられなくてもできるのか。家庭で親が尊敬できる場合、自然と同様の敬意を学校でも感じることができる

・楽器を習わせる実験によると、のちに長く続けられるか、プロになれるかは、音感や親の裕福さ、リズム感、IQとは無関係。「この楽器をどれくらい続けたいと思う?」という質問に対して「長く続けたい」「プロになりたい」と答えたかどうかによる。つまり才能よりも、ビジョン

・乳児に幾何学模様が人間のような動きをするアニメを見せた。赤い円が丘を登ろうとする、黄色い四角形が助けようとする、緑の三角形が邪魔をする。早ければ生後6か月で、三角形ではなく四角形に対して好意を持っている態度を見せる → 誕生後早い段階で原始的な正義感を有しているということになる

・意識よりも無意識に任せたほうがよい選択ができる

あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)あなたの人生の科学(下)結婚・仕事・旅立ち (ハヤカワ文庫NF)

今日の一曲

著者はブルックス。カントリー&ウェスタンの大物、Garth Brooksで"The Dance"



では、また。
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