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日本を考えるぜ!『寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」』鵜飼秀徳

2015-11-13 | books
元総務大臣の増田氏が座長を務める日本創成会議が発表した「消滅可能都市」によると、2040年には全国の自治体のうち、49.8%が消滅する可能性があるという。全国にある7万7千の寺院。(コンビニは5万2千件だからそれより多い。)そのうち住職がいない無住寺院は約2万ある。2040年になる前に既に寺は消滅の危機に瀕している。雑誌の記者をしながら京都の寺の副住職を務める筆者が全国を取材して教えてくれる渾身のドキュメントがこれ。

記憶が若干曖昧なのだけれど、確か著者がラジオにゲストに来てこの本の話をしてくれたのを聴いたので興味を持ったんだと思う。

冒頭は長崎県平戸の宇久島のお寺の話。福岡でカフェをやっていた佐々木さんは常連客の日蓮宗の住職にお坊さんにならないかとスカウトされた。面白そうだと、2011年勉強のため日蓮宗の総本山身延山久遠寺に入山する。そして修行のあと2013年宇久島で住職になる。檀家は島内で80、島外で30軒程度。佐々木さんの給与は額面で月額15万ぐらい。収入を増やすには檀家を増やさないといけないけれど、離島の檀家になろうという人が現れるわけもない…

仏像が盗まれてしまう無住寺院、絶滅寸前の尼僧、葬式仏教という現実など仏教や寺院について痛々しいまでのドキュメントであり取材報告である。

著者いわくは、

本書は次の三つの側面を持っている。地方の困窮寺院の声を拾ったルポルタージュ、伝統仏教の構造をひもといた歴史書、あるいは菩提寺との付き合い方が分かる実用書でもある。

嗚呼。そのように紹介すればよかったのか。本人が一番要約が上手だった。

仏教は不必要なものなのか。対談で玄侑宗久氏は言う。

「意識よりも無意識のほうが本当のことを知っている」と私は思っています。人間が目や耳などの感覚器で把握しているのは、本当に狭い世界です。見えない世界や霊的な世界に想像を巡らせることが、どれほど大事なことか。この無意識の力を引き出すのが僧侶の役割なのです。宗教的な技術をもって、阿頼耶識に入っている、ありとあらゆるもの引き出す技術は、僧侶以外には不可能なことです。こいした宗教的な叡智を僧侶が広く提示できるかどうか。提示できていないから、「葬式仏教」とか言われるんです。

「寺」という言葉の意味をご存知ですか。「同じ状態を保つ」という意味です。「ぎょうにんべん」を付ければ、同じ状態で佇むことを意味する「待つ」。それが主君を守備する「侍」の勤めでもあります。もっと言うと、「やまいだれ」を付ければ、なかなか治らない「痔」ということですよ(笑)

ふーむ。寺院の意義について、京都や鎌倉にある「鑑賞用」のものと「葬式用」ぐらいしか認識してなかった。うーむ。考えを改める時が来たかもしれない。

「廃仏毀釈」をご存じだろうか。受験で日本史を選択した人ならきっとご存じだろう。明治政府は外来の仏教じゃなくて神道こそが、信じるべき宗教だとして、仏教を弾圧した。しかし知らなかったのは、鹿児島ではそれが徹底して行われたということ。1066あった寺、2964いた僧侶。それが1874年にはゼロになったそうだ。(もし京都や鎌倉で徹底した廃仏毀釈が行われたら、桜や紅葉を見に行くことはなかったろうし、JR東海のキャンペーンもなかっただろう。そうでなくても古きよき日本が失われているのにそれに拍車をかけるところだった。ハトヤマさんだとかアベさんだとかが政策を進めたりするけれど、後世の人からすると「お前、何やってんねん!お前の見方は短期的で視野が狭いねん!ぶっ殺すぞこの野郎!」ってことになるのかもも知れない)

また「農地改革]についてはご存知だろうか。戦後GHQの指導によって、地主の土地は小作農に分け与えられて、「自作農」が創り出された。どのくらいの金額で地主の土地が国に買い上げられたかと言うと、田は一段(300坪)で757円、畑は464円。卵7つ分だそうだ。(今で言うと、70円ぐらい?)

寺は地主だったから、農地改革の過程で多くの土地が失われた。そのことが良いことだったのか、悪いことだったのか、ちょっと考えてみてほしい。そしてこの本を読んでその答えのヒントを得て欲しい。色々と考えさせられる。(「かんがえさせれれる」と打ち込んで何度も打ち込み直した。深夜3:37 酒をだいぶ飲みながらだからそういうことにもなるだろう)

嗚呼、酔っ払いに言わせてくれ。この本は「買い」だよ。仏教や寺院、宗教を考えるだけじゃなくて「日本」について考えさせてくれる。(考えない奴は、国外退去ですよ!)

寺院消滅

今日の一曲

本とは無関係。たまたま見つけた曲。リズム感がなんだかすごくいい。ゲスの極み乙女。で「キラーボール」



では、また。
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