頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『近いはずの人』小野寺史宜

2016-09-13 | books
33歳、北野。カップ麺の会社のサラリーマン。毎日6本の缶ビールを飲み、食事はカップ麺だけ。妻の絵美はいない。いなくなったのではない。死んだのだ。山奥でタクシーが転落し、運転手と一緒に死んだ。絵美は友達と旅行に行くと言っていた。しかしこの友達と行ったのだろうと思っていた女性は、絵美と行く約束はしていないと言った。絵美は誰と行ったのだろうか。その者はなぜ連絡してこないのだろうか。絵美の携帯が残されているが、ロックがかかっている。毎日4ケタの暗証番号を入力しているがなかなか合わない。そしてロックが解除できた。彼女と一緒に旅行に行く予定だった者とは… 弟が結婚すると言う。そして絵美の姉も結婚すると言う。そして空虚な毎日を過ごす北野。妻の過去をめぐる旅に出た北野は満たされるのだろうか…

こりゃ、なかなかの好み。

この福田も、変わった。以前は、仕事でもどこか手を抜くところがあった。僕とちがい、やればできる人間であったが、中々やらなかった。やればできるがやらずに終わる人間。その典型に見えた。が、やる人間になった。
人は自ら変わろうとしても変われない。だが環境が変わればあっけなく変わってしまう。それは変化ではなく、変化の末の順応なのかもしれない。ともかく、子どもが変化のきっかけになり得ることは確かだ。

確かに、人は変わろうとしても変われない。基本的には変われない生き物なのだ。しかし外的な強い刺激によって変わることはあり得る。確かに。

「理也子さん、かわいいね」
「ええ」
「二十七歳でかわいくいられるのはすごい。努力だけでできることじゃないわよね」
「そう、なんですか?」
「だと思う。かわいい子って、すんなり変われるか、ただかわいくなくなっちゃうかの、どちらかだから」

ふむふむ。確かにそうかも知れない。

妻の過去。知らないほうがいいのか、知ったほうがいいのか。意外な展開もすごくよかった。

近いはずの人

今日の一曲

本とは無関係に。Led Zeppelinで"Achilles Last Stand"



では、また。
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