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『死者の国』ジャン=クリストフ・グランジェ

2019-11-02 | books
パリでストリッパーが連続して殺害される。被害者の下着で縛られ、唇の両端は耳まで切り裂かれていた。担当はコルソ警視。パリで最も優秀だが、強引な捜査を行う男。捜査が行き詰まったとき、昔同様の事件があったことを知る。その犯人はフィリップ・ソビエスキ。強盗殺人で刑務所にいたが、出所してから画家として成功していた。ソビエスキにとって不利な証拠や有利な証拠が出て来て・・・

長い。果てしなく長い。ポケミス上下二段組で700頁強、定価3千円。しかし、物凄く面白い。

コルソの無茶苦茶なキャラがいい。ムシャクシャしたから、自分の担当でない銃撃戦に参加したりする。

ゴヤの絵画が重要な場面で使われているのだけれど、その辺も物凄く巧い。

一番は、ソビエスキがやったのか、そうではないのか。凄腕の美人弁護士が頑張るのだが、とにかくどんでん返しに次ぐどんでん返しの行き先は、想像だにしないものだった。

あとそうそう。SMやら変態性交の話が出まくるのでその辺苦手な人には薦められないけれど、大丈夫な人ならぜひオススメしておきたい。下にネタバレあり。


 


今日の一曲

The Strokesで、"Last Nite"




※ネタバレ


弁護士のクローディア・ミュレールが全て仕組んでいた。レイプ魔ソビエスキが犯した女性が産んだのがクローディアや、他の被害者だった。彼に復讐するために、ソビエスキの仕業だと思われるように、彼が描いたゴヤの贋作のモチーフを使って死体に細工をした。ソビエスキに最大限の苦痛を与えるため、事件の担当弁護士になり、一度無罪にしてから後に有罪にしてやろうと計画。しかし彼は獄中で自殺。しかし、同様の事件がまた起こる。被害者はなんとクローディア。ソビエスキは無実だと見せかけての自殺。コルソが彼女の墓に行くと、告白の手紙と、コルソの名が書かれた棺が。実はコルソもソビエスキの子供だとあった。そして、自分のいる「死者の国」でコルソを待っていると。

では、また。


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