頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『歴史が面白くなる東大のディープな日本史』相澤理

2012-08-02 | books
「歴史が面白くなる東大のディープな日本史」相澤理 中経出版 2012年

予備校の講師が一般向けに書いた、東大の日本史で過去に出題された問題とその解き方。

83年の出題では:

(資料を参照して)藤原実頼、頼忠が朝廷から軽視された事情、公実の要求が白河上皇に聞き入れられなかった事情を手掛かりにしながら、この時代の権力者はどのような関係に頼って権力を維持していたか書けという問題が以前に出題され、その時に以下のような答えを書いたものが多くいたが、それでは低い点数しか与えられないことを考えて、もう一度同じ問題に答えろという問題が出た。

ダメな解答…おお。これは面白い。摂関が力を持っていて、というようなシンプルな答えではいけないわけね。ふむふむ。

紹介されている過去問は古代から近代まで広い。問題そのものと、その背景の解説はすごく読んでいて面白い。たぶんそれまでの流れるような説明が上手だからか、最後に載っている模範解答は短すぎてちと物足りないけれど。(字数制限があるから当たり前か。)

摂関に関する問題5と、一揆に関する問題9が特に面白かった。個人的には、この東大日本史をシリーズ化して貰って、もっと多くの問題を網羅したものを何巻も読みたいものだ。

そして突然思い立って、松本清張の「昭和史発掘」を読むことになったというのが、私にとって本書に与えられた大きな収穫刺戟だと思う。(なぜまっとうな日本史の本じゃないのだろうか…)

では、また。


歴史が面白くなる 東大のディープな日本史
コメント    この記事についてブログを書く
« 店名にツッコんでください58 | トップ | アッという間のアート »

コメントを投稿