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『吉里吉里人』井上ひさし

2010-06-04 | books

「吉里吉里人」井上ひさし 新潮社 1981年

小説家古橋健二は仕事で東北に。すると吉里吉里国という独立国が東北に誕生した。冗談かと思ったら実はすごく本気。吉里吉里国初の移民となり、文学賞は受賞するし、大統領にも。独立国の真面目な哲学とハチャメチャな人たち。

いやいやいや。なんだこれは。こんな凄い本未読だったなんて。勿体無い&恥ずかしい。
SFでもあり、法律、医学、哲学、金融、文学、ダメ男、娼婦・・・扱う範囲が極めて広い。本も分厚い。手元にあるのは単行本。上下2段組で834頁。読むのに時間がかかった。しかし時間をかけただけあった。

単にフィクションであるとも読めなくて、近未来予想小説でもあるし、近現代日本への痛烈な批判とも読める。というような堅い面だけじゃなく、むしろ不真面目な面の方が多い。


二十四のひとみ
ひ、み、ひ、み、ひ、み、
ひ、ひ、ひ、み、み、み、
み、ひ、み、ひ、み、ひ、
み、み、み、ひ、ひ、ひ、
み、み、ひ、み、み、ひ、
ひ、ひ、み、ひ、ひ、み、
ひ、み、ひ、ひ、ひ、み、
み、ひ、み、み、ひ、み。
数えてごらん、ひとみの数を。
ひが二十四、みが二十四、
つまりこれが本当の二十四のひとみ(694頁より引用)




第一回おたねバッハ童話賞受賞第一作がこれである。あまりにもバカバカしくて噴き出してしまった。しかし、労働銭ンコ制という、自分が一時間働いて貰える賃金=誰か他の人が一時間労働して作った物を買える額。という発想には「お!これは」とうなってしまった。他にも色んなアイデアがこれでもかと詰まっている。






吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)
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吉里吉里人 (中巻) (新潮文庫)
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