頭の中は魑魅魍魎

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『喧嘩(すてごろ)』黒川博行

2017-01-07 | books
あの「疫病神シリーズ」の凸凹コンビが帰ってきた。

年がら年中金がない建設コンサルタントの二宮のところに持ち込まれた案件。地方議員の事務所に火炎瓶が放り込まれた。選挙のときのいざこざでやくざともめているらしい。その調停に、二宮ならその筋にも知り合いが多いだろうと頼まれた。件の暴力団は、大きな組織と関係があって、他のやくざたちには断られた。仕方ないので、既に二蝶会からは破門になり堅気になった桑原に連絡をとった。そして二人で調べてみると、出てくる出て来る議員秘書の裏の汚い仕事が。医大の裏口入学まで出てきた。その辺をネタに桑原と二人で大きなネタに仕上げて、大きく儲けようとする。大阪一のイケイケ元やくざの桑原と、大阪一イケてないコンサルタント二宮のコンビが得られるのは・・・

やっぱりこのコンビは面白い。

暴力が服着て歩いている桑原と、超小者の二宮。読者からは言動に意外性はなく、いつもの感じなのだけれど、ストーリーやネタはいつも新鮮。

水戸黄門のようにパターンや、人物はお決まりなのに、物語は黄門よりずっと面白い。

もし中学生の頃に、こういう「一見自分にもできそうな裏稼業」について書いた小説を読んでいたら、自分の進路は変わっていただろうか。将来なりたい職業に「建設コンサルタント」とか「議員秘書」と書いていただろうか。

喧嘩

今日の一曲

特に本とは関係ない古い曲。4千万回も再生されている。Crowded Houseで、"Don't Dream It's Over"



では、また。
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