頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学』本川達雄

2018-01-26 | books
様々な生物の生態を、「なぜそのようになっているのか」詳しく優しく教えてくれる。

例えば、サンゴ礁。サンゴは綺麗な海ででないと暮らせない。しかし、海水が綺麗だということは、プランクトンなどが少なく透明な水だということになる。だとすると栄養分が少な区なるはずなのに、サンゴ礁には沢山の生物がいる。サンゴもどうやって栄養を得ているのだろうか?

その答えは藻。小さな褐藻がサンゴの中にいて共生している。その相互の恩恵関係が素晴らしい。褐藻は栄養を与え、サンゴは住処を与える。その他複雑な恩恵を相互に与えている。理想の夫婦のようだ。

他にも、巻貝は、なぜ螺旋に巻いているのかなど、興味深い話が沢山あった。もしかすると最強の生物はナマコかも知れない。動く生物と動かない生物の中間「ちょっとだけ動く」生物。隙間産業に生きる。シカクナマコは雌雄があって、海中に精子と卵子を放出して有性生殖を行うが、季節によっては無性生殖を行う!(人間で言えば、彼氏とか彼女がいる時期は有性生殖を行い、そうでないときは自家発電を行う人。まさに「おひとり様」時代の先端を行く人ではないか!)それ以外にも、食う心配がなく、食われる心配もない。ある意味、我々人類が目指す形なのかも知れない。脳のような中心になる器官がないから、体の一部がなくなっても再生できる。脳があるからこそ、様々な欲求を産み、そして欲求不満を産み、脳があるからこそ、嫉妬や妄想が生まれる。脳なんてないほうがいいのかも知れない。

面白い。大収穫本だった。

ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 (中公新書)

今日の一曲

R.E.M.で、"Everybody Hurts"



では、また。
コメント    この記事についてブログを書く
« 『氷の天使』キャロル・オコ... | トップ | 『貧困旅行記』つげ義春 »

コメントを投稿