頭の中は魑魅魍魎

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『船に乗れ!II 独奏』藤谷治

2010-01-31 | books

「船に乗れ!II 独奏」藤谷治 ジャイブ 2009年(ジャイブはポプラ社の関連会社らしい)

PART 1に続くPART 2 完全に続き物になっているで順番に読まないと意味不明なると思う。

新生学園の二年生になったサトル。オーケストラの演奏が主に描かれた前巻から今度は一人で苦しみ悩む日々。特に希望していなかったのにドイツに留学してしまうし、ガールフレンドとの仲が険悪になり、ついには大好きな公民の金窪先生を・・・

いやいや。第二巻のラストがこんな風になるとは軽い衝撃と眩暈が襲ってきた。相変わらず巧い。クラシック音楽と楽器に無知な私をのめりこませるのだから、少なくとも音符は読めるであろう他の人はさらに楽しめるのではないだろうか。

メッツナー先生の「君は弦を鳴らしている。楽器を鳴らしていない」という発言には驚いた。弦楽器はそういうものなのか!よくはわからないけどなんとなく分かったような感じと、そういえばすごくいい音をさせるバイオリニストやチェリストしかCDにならないから聴いたことがないだけで、彼らがそこに至る前には勿論鳴らなかった事があったのだろう。すまん。それってすごく当たり前のことかも知れないけど、私は実生活では一度も見てない聴いてない体験なのだ。

私もぜひ授業を受けてみたい公民(この時代はそういったのだろうか?私の時代なら倫理社会だと思うが)の金窪先生。カントの純粋理性批判とソクラテスの弁明をこんなに分かり安く、頭の奥の方へすぅっと届く話してくれる人なんて見た事がない。知っているつもりだった自分がとても恥ずかしい。私は何も知らなかった。私は何も知らない。

船に乗れがいいと薦める友人Mちゃんは「なんつーかさー 青春ものなんだけどさー 予想つく収まり方しないのがいいんだよねー 変に明るくないのもいいねー」と言っていた。本当にそうだ。PART IIIを読むのが待ち遠しい。

相変わらず、なぜ「船に乗れ」というタイトルなのかは分からない。


※追記

「船に乗れ!III合奏協奏曲)」(3)のレビュー








船に乗れ!(2) 独奏
藤谷 治
ジャイブ

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