頭の中は魑魅魍魎

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『デッド・オア・アライブ』楡周平

2018-01-06 | books
近未来、というより、ほんの数年後の自動車会社を描いた小説。

(東芝を連想させる)コクデンは、不正会計が明るみに出てから、苦境に立っていた。家電など売れる事業は売ってしまった。残ってる事業で、何とかなるかもしれないのが電池・・・軽自動車の専門メーカーのイナズミも販売不振に陥っている。ある社員が電気自動車(EV)にシフトすべきだと提言するが、相手にされない・・・(トヨタを連想させる)タカバは、水素を燃料にするFCVを次世代の車とすべく開発しているが、高価で、水素ステーションの建設も進んでおらず、売れていない。国に働きかけて補助金も出させているのだから、簡単にやめるわけにはいかない。しかし、EVがこれから世界中で売れて行くことを知った・・・

というより3つの会社を中心にした、自動車業界小説。なかなか面白かった。

何ヶ月か前に、ラジオで、EVがこれから世界を席巻するだろうと評論家が言っているのは聴いたので、話のいくつかは知っていた。それでも知らないことはたくさんあって、「情報小説」として、楽しく読ませてもらった。

ドラマ「陸王」のように、個々の登場人物の背景やキャラについて詳しく描く、というタイプの小説ではないので、そっち方面に期待すると肩透かしをくらう。

カリフォルニアでは、今後EV以外を売るのが難しくなることや、ノルウェーのようなEVを買うことにインセンティブを与える国があったりとか、気づくと日本はEV後進国になっているのだろうか・・・(この本を読むと、EVじゃなきゃダメだと洗脳されるけれども、それが事実かどうかはよく分からない)洗脳されるのも、ある意味、本を読む醍醐味かもしれない。

デッド・オア・アライブ

今日の一曲

軽快なジャズ。bohemianvoodooで、"Adria Blue"



では、また。
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