「なずな」堀江敏幸 集英社 2011年(初出すばる2008年9月~2010年9月)
私は40代男性、地方で新聞記者をしている。弟は旅行社で働いているのだが、海外で事故に遭い弟の奥さんは病気で入院してしまった。私が彼らの子なずな(生後2か月)を預かることになった。周囲に助けてもらいながら、大変な子育てをなんとかこなし、そしてなずなから本当に大切なことをたくさん教えてもらう…
うーむ。これはいい本だ。何一つ大きな事件は起きない。淡々とした日々がただ描かれるだけ。なのにじっくり読ませる。
こころを温かくし、落ち着かせてくれる優しい本だ。読んでいて違和感を全く感じさせないのは、句読点の打ち方にあるのかも知れない。
子供をこれから生み育てるかも知れない女性、子供をこれから拵えるかもしれない男性、過去に生み育てた人、子育てなど異星のことだと考えている人にオススメする。あとそうそう。人生に疲れた人や人の愛情に欠けた人は、自分が生まれた時にいかに大切にされたかを感じ取れるかも知れない。(親が自分の子に、感謝させるために読ませるのは間違っているような気もするけど…)
こんな小説を読んでいれば、やれ領土がどうしたとか60年前のこと謝れという諍いや、あるいは長期的&みんなのためにじゃなくて、短期的で自分のためだけにするミットモナイ諍いもなくなるのでないだろうか。
なんてな。
私は40代男性、地方で新聞記者をしている。弟は旅行社で働いているのだが、海外で事故に遭い弟の奥さんは病気で入院してしまった。私が彼らの子なずな(生後2か月)を預かることになった。周囲に助けてもらいながら、大変な子育てをなんとかこなし、そしてなずなから本当に大切なことをたくさん教えてもらう…
うーむ。これはいい本だ。何一つ大きな事件は起きない。淡々とした日々がただ描かれるだけ。なのにじっくり読ませる。
こころを温かくし、落ち着かせてくれる優しい本だ。読んでいて違和感を全く感じさせないのは、句読点の打ち方にあるのかも知れない。
子供をこれから生み育てるかも知れない女性、子供をこれから拵えるかもしれない男性、過去に生み育てた人、子育てなど異星のことだと考えている人にオススメする。あとそうそう。人生に疲れた人や人の愛情に欠けた人は、自分が生まれた時にいかに大切にされたかを感じ取れるかも知れない。(親が自分の子に、感謝させるために読ませるのは間違っているような気もするけど…)
こんな小説を読んでいれば、やれ領土がどうしたとか60年前のこと謝れという諍いや、あるいは長期的&みんなのためにじゃなくて、短期的で自分のためだけにするミットモナイ諍いもなくなるのでないだろうか。
なんてな。
もっとも、当人の「質」が低ければいけませんが。
おっしゃる通りです。気持ちのよい人生・生活を送れるのは、外面的な出来事・見た目・身に着ける物・住んでいる家・地位というようなことではなくて、
本人の内面の質、あるいは心の持ちようなんだろうと思います。
だけど過ぎてしまえばかわいかったことしか覚えていない…。
途中までは、ふむふむ温かな優しい気持ちに満たされる作品だと思って読みました。途中から、何だか何だか違和感を感じました。
自分が抱え込んで子育てしたいのは自分の自己満足ではないのか、もっと頑張っているおかあさんもいるが誰もそれを誇示していない(生後2か月の子どもを長時間ベビーカーに乗せていいのか、居酒屋に連れて行っていいのか…それなら抱え込まないほうがいい…)というのもありますが、長すぎではありませんでしたか?
期待が高すぎたのか、“オススメ作品”とはなりませんでした。
おっしゃる通り、主人公によるなずなが「かわいくて仕方ない」が後半のやや理解できない行為につながっているかと思います。
主人公に感情移入して読んだ場合、その「あまり良くないこと」は、読者である自分もしてしまうから分かる分かるという方につながるのかも知れません。
また、主人公を第三者の立場から読むと、違和感が目立つ作品になるのかも知れません。
前者だと後半の違和感はむしろ人間としての苦悩を描いた、リアルな作品となるし、後者だと作り物めいた作品となってしまうのでしょうか。
また、子育ての経験の有無も作品の評価と関連があるかも知れません。
あまり楽しめないと確かに長すぎる作品なのだろうと想像致します。