頭の中は魑魅魍魎

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『凍れる森』C・J・ボックス

2019-02-13 | books
ジョー・ピケットシリーズ12作目の「鷹の王」の評判がいい。第1作の「沈黙の森」は面白かったのだけれど、ご無沙汰していたので、第2作を読んだ。

ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットは、地元の保安官や保安官補に反発しながら、良妻賢母の妻メアリーベス、娘シェリダンとルーシー、捨てられた子エイプリルを引き取って暮らしている。ジョーはエルクの大量殺戮場面に出くわした。犯人は役人だった。捕まえたと思ったら、逃げられ、そして殺されてしまった。そして別の役人も殺されてしまった。ちょうどその頃、「独立市民」という反政府的なグループが近辺にやって来て住み始めた。非常に高圧的な官僚、メリンダ・ストリックランドがやって来て、FBIと一緒に殺人事件の容疑者は独立市民の中にいるとして彼らを駆逐しようとしている。ジョーは何か胡散臭いものを感じて・・・

うーむ。素晴らしい。空を見上げて、素晴らしいとソプラノで叫びたい。

ひどい母親に捨てられ、ジョーの所に引き取られたエイプリルは幸せに暮らしていたのに、逃げた母親が戻ってきて、彼女を奪おうとする、というドキドキ。殺人事件の行方や反政府グループがどうなるかというドキドキ。さらに、

小説には、色々な敵役が出てきて物語に色彩を与える。怪人二十面相からショッカー、バルタン星人、モリアーティ、レクター博士などなど。例が古いとか言わないように。どの敵役にも心の底から憎むのとは違う感情を抱くけれど、このメリンダという役人には、心の底からぶちのめしてやりたいというドス黒い感情を抱く。そういうキャラを作れるというのがスゴイ。

メアリーベスのちょっと嫌な感じのする母親や、一度容疑者になってしまう鷹匠のネイト・ロマノウスキーなどサブキャラがまたいい。北上次郎氏などが絶賛の第12作「鷹の王」ではこのネイトが主役級の活躍をしているらしい。特に評判になってる感じのしないこの第2作でもこれだけ面白かったのだから、今後も相当期待できる。

ラストも、素晴らしかった。好み。


凍れる森 (講談社文庫)
C・J・ボックス
講談社



今日の一曲

杏ちゃんの番組、J-WAVEのBOOK BARを聴いていたら、その直後にかかっていた。Suchmosで、 "FUNNY GOLD"



このバンドのライブ、行ってみたい。では、また。
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